【2月1日 AFP】イラクの全18州のうち14州の地方議会選挙の投票が31日行われ、おおむね平穏に投票を終えた。

 今回の選挙では計440議席を争って1万4400人以上が立候補した。有権者数は約1500万人。投票は予定より1時間遅い午後6時(日本時間1日午前零時)に終わった。

 選挙管理委員会によれば、暫定的な結果は今週にも明らかになるが、最終的な結果が出るまでには数週間かかる見込み。

 スタファン・デミストゥーラ(Staffan de Mistura)国連特使は投票率は高かったと述べた。選挙管理委員会は1日午後1時(日本時間午後7時)に投票率を発表するとしている。

■おおむね平穏だが死者も

 投票にあたりイラク当局はイラクの国境を封鎖し、複数の空港を閉鎖したほか一部では夜間外出禁止令も出された。

 31日には、モスル(Mosul)近隣の投票所で投票が始まる直前に銃撃戦が発生し、制服を着用していなかった2人のイラク人警察官を米兵が射殺したと米軍が発表した。

 バグダッド(Baghdad)の北、シーア派のトルクメン人が多いトゥズ・クルマトゥ(Tuz Khurmatu)で爆弾が爆発し、警察官6人と民間人1人が負傷した。

 ディヤラ(Diyala)州のカナキン(Khanaqin)では、投票させるよう求める数百人のクルド人が選挙事務所に押しかけた。一方、故サダム・フセイン(Saddam Hussein)元大統領の出身地である中部ティクリート(Tikrit)では同日、複数の投票所近くで迫撃弾4発が爆発した。地元警察によれば死傷者などは出ていないもよう。

■マリキ首相、オバマ大統領が評価

 イラクのヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相はバグダッドの厳重な警備が敷かれた米軍管轄区域グリーン・ゾーン(Green Zone)で投票した後、「これはすべてのイラク人にとっての勝利だ」と述べた。今回の選挙は、米軍による進攻以降イラクを苦しめた宗派間抗争への対応として世俗的な政策課題を推進し、立場を強めてきたマリキ首相の事実上の信任投票としての側面ももつ。

 米国のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は、「イラク人が自らの未来に対する責任を取っていくプロセスを続けるための重要な前進」だと評価した。(c)AFP/Ammar Karim