【1月25日 AFP】ジンバブエのロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領の娘が、偽名で香港の大学に通っていることが25日、香港英字紙サンデー・モーニング・ポスト(Sunday Morning Post)の報道で明らかになった。

 サンデー・モーニング・ポストは、香港大学(University of Hong Kong)関係者筋の話として、ボナ・ムガベ(Bona Mugabe)さんが2008年から同大学に通っていることを報じた。父親のロバート・ムガベ大統領とその側近らは、米国や欧州連合(EU)、オーストラリアへの入国を禁止されている。

 留学が明らかになったのは、母親のグレース・ムガベ(Grace Mugabe)大統領夫人(43)が今月、滞在中の5つ星の九龍シャングリラホテル(Kowloon Shangri-la Hotel)前で写真を撮ろうとした英国人カメラマンのリチャード・ジョーンズ(Richard Jones)氏に暴行を加えたとの報道がきっかけとなった。

 サンデー・モーニング・ポストによると、香港大学の広報担当者は、ボナさんがいることで、大学キャンパス内で他の学生から否定的な反応が起きたことはないと述べ、「教育は、政治とは別であるべきだと信じている。また、家族の事情や両親の行動で、若い人々の教育の権利が否定されることはあってはならないことだ」と語った。

 オーストラリアでは前年、両親がムガベ政権と関わりを持っているジンバブエの学生8人を国外退去処分にした。理由として、人権侵害に関与している人々が、一般的なジンバブエ国民が受けられない教育を、自分の子どもだけに与えるのを阻止したかったとしている。

 一方、香港の警察当局は、グレース・ムガベ夫人によるジョーンズ氏への暴行について、捜査中であるとしている。

 警察広報官は、AFPに対し「まだ逮捕者は出ていない」と述べた。

 ジョーンズ氏は、九龍シャングリラホテル前で、ボディーガードに押さえつけられている間にムガベ夫人にくり返し殴られたと述べている。ジョーンズ氏によると、ムガベ夫人が複数のダイヤモンドの指輪をはめていたために、頭と顔に多数のあざや切り傷、擦り傷ができたという。(c)AFP