【1月19日 AFP】香港滞在中のジンバブエのロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領の夫人に密着していた英国人報道カメラマンが、夫人の写真を撮ろうとして夫人から顔を殴られるなどの暴力を振るわれたと、18日明らかにした。

 フォトエージェンシー「Sinopix」のチーフカメラマン、リチャード・ジョーンズ(Richard Jones)氏は15日、グレース・ムガベ(Grace Mugabe)夫人(43)が滞在している5つ星の九龍シャングリラホテル(Kowloon Shangri-la Hotel)の外で、夫人を待ちかまえていた。

 夫人は女友達とボディガード1人と共にホテルから出てきたが、約6メートル先にジョーンズ氏の姿を見つけると激怒し、ボディガードにジョーンズ氏を痛めつけるよう命令した。

 現場に駆けつけた英紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)の特派員、マイケル・シェリダン(Michael Sheridan)記者によると、「ボディガードはジョーンズ氏につかみかかり、取っ組み合いながら彼のカメラを奪おうとした。ボディガードが彼を押さえつけている間、ムガベ夫人は彼の顔を何度も殴った」という。

「彼女は完全に狂乱状態だったよ」(ジョーンズ氏)

 ホテルからは、大柄のアフリカ人のボディガードがさらに3、4人出てきてジョーンズ氏の方へ向かおうとしたが、ホテルに程近いショッピングビル尖沙咀中心(Tsim Sha Tsui Centre)の警備員がこれを制止。やがて警察が現場に到着し、ジョーンズ氏から事情を聴いた。

 医師の診断によると、ジョーンズ氏は頭と顔に、あざ、切り傷、擦り傷が多数認められた。「ファーストレディーがはめていた複数のダイヤモンドの指輪のせいだろう」とジョーンズ氏。

 同氏らは、「夫人の派手なライフスタイルとジンバブエ人民の苦境」を対比して報じるべく、夫人の香港での行動を追う予定だったという。サンデー・タイムズによると、ムガベ一家はバカンスで東アジアを訪れており、夫人は9日、大統領とは別行動でシンガポールから香港へやってきた。

 ジンバブエでは、人口の約半分が援助食糧に頼っている。前年8月からはコレラが大流行しており、コレラによる死者は2000人を超えている。(c)AFP