【1月13日 AFP】米国務省は12日、闇の核密売ネットワークの完全撲滅に向けた措置として、パキスタンで自宅軟禁中の「核開発の父」、アブドル・カディル・カーン(Abdul Qadeer Khan)博士と協力者12人、関連企業3社を米政府の制裁対象に指定したと発表した。

 これによりカーン博士らは、米政府や民間企業との商取引は一切禁止される。国務省高官が匿名を条件にAFPに語ったところによると、米政府は他国も制裁強化に追随するよう期待しているという。

 カーン博士は2004年2月、イラン、北朝鮮、リビアへ秘密裏に核技術を供与していた事実を認め、以来パキスタン・イスラマバード(Islamabad)の自宅で事実上の軟禁状態に置かれている。しかし2008年になって同博士は核技術の供与を認めた発言を撤回した。

 デービッド・オルブライト(David Albright)元国連(UN)査察官と、米下院外交委員会ハワード・バーマン(Howard Berman)委員長は、国務省の制裁措置を歓迎している。

 その一方でオルブライト氏は、輸出規制が緩やかなアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ(Dubai)やマレーシアなどを拠点にした核拡散ネットワークが活動を続けており、数十の個人や団体が制裁を免れていると懸念する。

 こうした点をふまえ、オルブライト氏はバラク・オバマ(Barack Obama)次期政権は「核技術の違法取引の撲滅に向けた対策について再度、見直す必要がある。こうした組織は、カーン博士よりも大きな問題だ」と述べるとともに、オバマ政権は制裁という強硬措置よりも、より多くの国家や企業を巻き込んで協力を得る方が良いのではないかと提言した。(c)AFP/Lachlan Carmichael