【1月13日 AFP】退任を間近に控えたジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は12日、ホワイトハウス(White House)での最後の記者会見を開き、自らの政権が国際社会における米国の道徳的立場を傷つけたとする意見を強く否定し、自らの業績を強調した。

 ブッシュ大統領は来週、海外で2つの戦争を戦い、国内では1930年代以来といわれる経済危機に見舞われ、3兆ドル(約270兆円)に達するとされる財政赤字を抱える米国をバラク・オバマ(Barack Obama)次期大統領に引き継ぐ。

 だが、ブッシュ大統領は会見で、米国の安全を保つとともに自由を拡大するために行動したと強調するなど、最低の支持率を記録したことは気にせず、開き直った態度をみせた。

 ブッシュ大統領は、自らの政策に不満を示した欧州などの「エリート層」を激しく非難するとともに、「悪の枢軸」であるイランや北朝鮮は依然として危険な存在だと強調した。一方、自らの8年間の政権運営については「見事な、力強い実績」をあげたとまとめた。

 ブッシュ大統領が会見中最も熱弁をふるったのは、同大統領が米国の世界的な名声をおとしめたのではとの意見が出た時だった。この意見に対しては、「まったく同意できない」と述べ、強く否定した。

 さらに、中東問題をすべてイスラエルの責任にしたり、京都議定書(Kyoto Protocol)への調印や国際刑事裁判所(International Criminal CourtICC)への参加が実現していれば、欧州では人気がでただろうと語った。

 また、オバマ次期大統領は米国の安全保障について重責を担うことになるとした上で、「オバマ氏が、そして彼の後を次ぐ将来の大統領たちが直面する最も差し迫った脅威は、米本土へのテロ攻撃だ」と語った。

 パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での戦闘については、永続的な停戦が実現するには、イスラム原理主義組織ハマス(Hamas)がイスラエルに対するロケット弾攻撃を中止する必要があると語った。

 退任後の生活については、「麦わら帽子とアロハシャツ姿でビーチでくつろぐなんて想像できない。もう、お酒もやめたしね」と語り、退任後も積極的な活動を行うことを示唆した。

 ホワイトハウスのダナ・ペリーノ(Dana Perino)報道官によると、ブッシュ大統領は15日夜に国民に向けたお別れの演説を予定しているという。(c)AFP