【1月5日 AFP】(一部更新)東シナ海(East China Sea)のガス田問題で、産経(Sankei)新聞は4日、日中政府間の合意に反して中国が同海域ガス田の一部で単独開発を行っていると、政府筋の情報として報じた。

 報道によると、2008年7月上旬に海上自衛隊の哨戒機が、日中間で継続協議の対象となっているガス田の1つ、「樫(かし)(中国名・天外天、Tianwaitian)」周辺で海面の変色を確認、日本政府は中国側に抗議した。しかし、その後も中国は作業を続け、「掘削を終えて生産段階に入った可能性がある」(産経)という。

 この報道について、中国外務省の秦剛(Qin Gang)報道官は同日、「合意違反ではない」と反論。「天外天は中国の排他的経済水域(EEZ)内にあり、問題とされるガス田開発は中国の主権の範囲で行っているものだ」と主張している。

 これに対し、河村建夫(Takeo Kawamura)官房長官は5日、「一方的に中国が開発を進めることは認められない」と述べ、主権の行使だとする中国側の主張に遺憾の意を表明した。

 日中両政府は前年6月、両国間で長年の懸案問題となっている東シナ海ガス田の終結を目指した協議に臨み、4つのガス田のうち、2つについては日本の出資による中国の先行開発と、両国による近海の共同開発で合意した。しかし「樫」を含む残るガス田については、合意に至らなかったことから、現状維持のまま継続協議するとしていた。(c)AFP