【1月2日 AFP】キューバ南東部サンティアゴデクーバ(Santiago de Cuba)で1日に行われたキューバ革命50周年記念式典でラウル・カストロ(Raul Castro)国家評議会議長(77)は、敵国の米国は「今後も攻撃的かつ支配的で、信用できない国であり続けるだろう」と、自国の未来の指導者らに対して警告した。

 フィデル・カストロ(Fidel Castro)前国家評議会議長(82)らが、シエラ・マエストラ(Sierra Maestra)の山ろくに潜伏しながら25か月の戦闘の末、米国を後ろ盾としていたフルヘンシオ・バティスタ(Fulgencio Batista)大統領政権を打倒し、1959年1月に勝利を宣言したのはここサンティアゴデクーバだった。

 記念演説でラウル・カストロ議長は「歴代の米政権は絶えず強制的にキューバに体制変革をもたらそうと試みてきた。過去半世紀にわたるこの厳しい闘いの間、抵抗はわれわれの一つ一つの勝利の証しであり、要であり続けた」と語った。

 次期米大統領にバラク・オバマ(Barack Obama)氏が就任することで、数十年にわたって敵対状態が続いてきた米国とキューバの関係改善が強く期待されているが、ラウル・カストロ議長は「敵国」に対する態度を軟化させないよう、自国の未来の指導者らに警告した。

 米政府は前日の12月31日、キューバ国民のための「自由を模索し続ける」とだけ言明したが、20日に就任するオバマ次期米大統領は、キューバ-米国間の渡航制限や送金規制の緩和を公言している。一方のラウル・カストロ議長も、硬軟両様の駆け引きなしにオバマ氏と対話する用意があると述べている。

 1日の演説でラウル・カストロ議長はまた、未来には困難な課題が待ち受けていると強調した。キューバは2007年、世界的な経済危機と3回のハリケーンで大打撃を受けた。ハリケーンによる損害は約100億ドル(約9000億円)に上った。

 2006年7月に腸内出血の手術を受けて以来、公の場に姿を見せていない実兄のカストロ前議長は革命50周年に際し、共産党機関紙グランマ(Granma)に国民にあてた短い署名入りメッセージを寄稿した。(c)AFP/Isabel Sanchez