【12月28日 AFP】(一部更新)イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)に大規模な空爆を行ったことを受け緊急協議を行った国連安全保障理事会(UN Security Council)は28日未明(日本時間同日夕)、同地区における全ての軍事活動の即時停止と、全当事者に人道危機に対処することを求める声明を出した。

 議長国であるクロアチアのネヴェン・ジュリカ(Neven Jurica)国連大使が「暴力の即時停止」と全当事者に「全ての軍事活動の停止」を求める声明を読み上げた。声明に法的拘束力はなく、イスラエルとイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)のいずれも名指しされなかった。

 緊急協議は理事国唯一のアラブ国家であるリビアの要請で現地時間27日夜に召集され、約5時間を超える非公開協議を経て声明が発表された。

■各国の立場

 外交筋によれば当初ロシアが提出した声明案の文言は米国の強い求めで表現が弱められ、最終的な声明文ではイスラエルとハマスのいずれにも言及しないことで合意されたという。

 合意を得るうえで主要な役割を果たしたロシアのビタリー・チュルキン(Vitaly Churkin)国連大使は、安保理は「暴力の悪循環」の停止につながるメッセージを出すことを目指して努力したと語った。

 米国のザルメイ・ハリルザド(Zalmay Khalilzad)国連大使は、今回の空爆はガザ地区からのロケット弾による攻撃に対する自衛のためのものだったとしてイスラエルの立場を擁護した。

 イスラエルのガブリエラ・シャレフ(Gabriela Shalev)国連大使も報道陣に空爆は自衛のためだったと述べた。イスラエルは安保理の呼び掛けに応じるのかとの質問には、「ハマスが呼びかけに応じるのか見きわめたい」と述べ、質問に直接答えることを避けた。

 パレスチナ自治区の国連オブザーバー、リヤド・マンスール(Ryad Mansour)氏は、安保理は停戦とガザ地区の封鎖の解除を求める明確なメッセージを出したと述べた。イスラエルは前年ハマスがガザ地区を実効支配して以来、ガザ地区を封鎖していたが、26日に人道援助物資を積んだトラック数十台の通行を認めている。

 フランスのジャンピエール・ラクロワ(Jean-Pierre Lacroix)国連大使は、パレスチナの人々に人道援助を届けることが死活的に重要だということを明確にしたとして、この声明を評価した。(c)AFP/Gerard Aziakou