キャロライン・ケネディさんを襲う政界の洗礼
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【12月24日 AFP】米次期政権の国務長官就任に伴い上院議員を辞任するヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏の後継として、上院議員ポストに意欲を示す故ジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)元米大統領の長女、キャロライン・ケネディ(Caroline Kennedy)さん(51)。「ケネディ王朝」の一員だという出自が彼女に幸福と災いの双方をもたらしている。
クリントン氏の国務長官就任が議会で承認されれば、ニューヨーク(New York)州のデービッド・パターソン(David Paterson)知事が、後任の上院議員を指名することになる。
■メディア露出は控えめ
ケネディさんは1963年、父親の故ケネディ大統領が暗殺された際、葬儀で母親のジャクリーン・ケネディ(Jacqueline Kennedy)元夫人の横にたたずむ幼い少女として全米の人びとの心をとらえた。しかし作家、そして弁護士として知られるようになってからは、それまで避けてきた政治闘争的批判が自らの身に降りかかるのを感じてきた。
評論家たちはケネディさんがメディアから隠れていると批判している。彼女の政治的立場について質問した米政治専門サイト「ポリティコ(Politico)」に広報担当者を通して書面で回答したことでさらに批判が高まった。
ケネディさんのメディアへの対応は、共和党の副大統領候補だったアラスカ(Alaska)州のサラ・ペイリン(Sarah Palin)知事とよく比較される。ペイリン氏は当初メディアの取材をほとんど受けず、その後インタビューで危うい受け答えをして評価を下げた。
民主党ニューヨーク州選出のゲーリー・アッカーマン(Gary Ackerman)下院議員は、CBSテレビに「基本的にキャロライン・ケネディは『サラ・ペイリン化』されつつあると言える。彼女から報道陣に語る機会がない」と批判した。
■批判と期待、警戒も
慈善事業や文化組織での活動、ニューヨーク州の教育制度改革などに積極的に取り組んできたケネディさんだが、政治経験が少ないにもかかわらずケネディ家の名前と神話を利用して上院議員になろうとしているという批判にさらされている。
共和党のピーター・キング(Peter King)下院議員(ニューヨーク州選出)は米FOXニュースで「彼女が現時点で上院議員になろうというのは非常に厚かましい。経歴からいって彼女にはその準備ができていない」と酷評した。
パターソン知事に指名されるクリントン氏の後任の上院議員は、2010年にはクリントン氏が残した2年の任期のために、2012年には自分自身の6年の任期のために立候補しなければならない。選挙戦のために富裕層から献金を募り、百万ドル単位の費用をかけて広告を出さなければならない状況になれば、ケネディ家の名前は大きな財産になるかもしれない。
100人の議員が当選回数に応じて強固な秩序を形作っている上院において、1人の新人議員が持つ直接的な影響力はあまり大きくはないのが普通だ。しかし、説得力という点ではケネディさんは有望かもしれない。「その出自から、ケネディさんが最初から強い影響力を持ちうる可能性はある」と、プリンストン大学(Princeton University)歴史学教授のジュリアン・ゼリザー(Julian Zelizer)氏は言う。
同氏はニューヨーク州の極度の財政危機に触れ、「パターソン知事は連邦議会の助けを必要としている。自分に、そして州に最も大きな利益をもたらしてくれるのは誰かを計算しているはずだ」と分析する。
政治的な計算もあるだろう。ニューヨーク州の次の知事選は2010年に行われるが、パターソン知事の脳裏には、自分の名前の隣に「ケネディ」と印刷された投票用紙が浮かんでいるのかもしれない。(c)AFP