【12月19日 AFP】麻生太郎(Taro Aso)首相の親族が経営していた福岡県の旧「麻生鉱業(Aso Mining)」に第2次大戦中、外国人捕虜がいたことが18日、厚生労働省が保管していた公文書で明らかになった。麻生首相は外相時代から同社に外国人捕虜がいたことを一貫して否定しており、政府として認めたのは今回が初めてだという。

 厚労省が開示した文書によると、英国人やオランダ人、オーストラリア人の捕虜300人が、1945年5月10日から終戦の8月15日まで、麻生鉱業の吉隈炭坑にいたという。このうち2人のオーストラリア人捕虜が死亡しているが、厚労省はプライバシー保護を理由に死因や他の捕虜の個人情報については明らかにしていない。

 文書は、民主党の藤田幸久(Yukihisa Fujita)参院議員の求めで開示された。藤田議員は、「首相は捕虜の労働条件や死因について検証する責任がある」と述べ、炭鉱側の捕虜の待遇状況や強制労働だったかどうかなどについて、さらに追求していく姿勢を示した。

 一方、中曽根弘文(Hirofumi Nakasone)外相は野党側からの質問に対し、麻生首相が外相当時の2006年に、在ニューヨーク(New York)総領事館のホームページに掲載された麻生鉱業の捕虜問題を否定するコメントを、外務省が削除したことを明らかにした。中曽根外相は、「厚労省の文書で新たな事実が明らかになったことを受け、削除を決定した」と話した。(c)AFP