【12月12日 AFP】米兵によるイラクやキューバのグアンタナモ(Guantanamo)米海軍基地の収容施設などでのテロ容疑者に対する虐待行為について、ドナルド・ラムズフェルド(Donald Rumsfeld)前国防長官ら当時の政権首脳に責任があるとする、米上院軍事委員会の超党派議員による報告書が11日、発表された。

 報告書は「グアンタナモ収容施設における過酷な尋問手法を、ラムズフェルド前国防長が容認したことが虐待が横行した直接の原因」とした。さらに、グアンタナモでの虐待行為が、アフガニスタンやイラクでの容疑者虐待にも多大な影響を及ぼしたと結論づけている。

 報告書によると、ラムズフェルド氏は、後に撤回しているもののグアンタナモで厳しい尋問を行うことを2002年12月2日に許可したという。

 報告書をまとめた上院軍事委員会のカール・レビン(Carl Levin)委員長(民主党)は、「当時のブッシュ政権首脳のメッセージは、収容者に対し下劣で虐待的な尋問手法を認めたものであることは明らかだ」と述べ、「政府高官らが、虐待行為の責任を不当に一般兵士に転嫁している」と非難した。

 同委員会は、極度の精神的苦痛を加える、服を脱がせる、睡眠を奪う、水責めなど論議の的となってきたテロ容疑者に対する尋問と国防省の関与を、2年半を費やして調査してきた。

 報告書は、こうした強圧的な手法が、人命を救うべき正確な情報の収集能力を阻害し、敵を有利に導いた上、ひいては米軍の道徳的権威をおとしめたと批判している。

 報告書は、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領が2002年2月7日、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)とイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)の容疑者については、捕虜への人道的扱いを定めた「ジュネーブ条約(Geneva Convention)」は適用されないとする覚え書きに署名したことが、強圧的な尋問手法がはびこるきっかけとなったとしている。

 テロ容疑者に対する尋問手法を協議する会合には、コンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)国務長官も、同年の春頃まで参加していたという。

 同報告書は、内容の多くが極秘扱いとなっている。(c)AFP