【12月1日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)次期米大統領が1日に発表する国家安全保障担当の閣僚人事では、ジェームズ・ジョーンズ(James Jones)前北大西洋条約機構(NATO)最高司令官(64)が国家安全保障担当の大統領補佐官に指名されることが確実視されている。

 ジョーンズ氏は海兵隊で40年の軍歴を持つ。ベトナム戦争にも参加した。2003年1月、海兵隊出身者としては初めて、NATOの欧州連合軍司令官(SACEUR)に就任。当時、フランスとドイツがイラク戦争への不参加を表明したことで、NATOは創設以来最悪の政治危機を迎えていたが、ジョーンズ氏は関係の改善に粉骨砕心した。2006年12月にSACEURを退任し、2007年2月に軍を退役。しかしその後も、表舞台での活動を続けた。

 同年6月、米商工会議所が設立した「21st Century Energy」研究所の所長に就任。国家安全保障とクリーンエネルギーの供給を両立させる方法を模索する同研究所の開所式で、1973年の第一次オイルショックの際にエネルギー保障の重要性を痛感した経験談を語った。NATO最高司令官当時も、「毎朝、アフリカ・ペルシャ湾・カスピ海までのエネルギー供給路と供給施設をいかに防衛するか」に心血を注いでいたという。

 2007年11月には、コンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)米国務長官の中東安全保障担当特使に任命され、パレスチナ治安部隊の組織作りの支援にあたった。

 現場主義者のジョーンズ氏の指名は、専門家の間では少なからず驚きをもって受け止められている。

 政治ジャーナリストのボブ・ウッドワード(Bob Woodward)氏は、ジョーンズ氏は早くからドナルド・ラムズフェルド(Donald Rumsfeld)前国防長官を声高に批判してきた人物だと言う。「彼は強い。ほどなく影響力を発揮するだろう」

 ニューズウィーク誌のコラムニスト、ファリード・ザカリア(Fareed Zakaria)氏は、「彼はNATO最高司令官時代、欧州でも非常に高い人気を誇った」と指摘する。オバマ氏の人選について、「アフガニスタンとイラクという2つの切迫した問題を中心的な立場で果敢に対処できる人物を欲していたのでは」とみる。(c)AFP