【11月15日 AFP】デンマーク領、グリーンランド(Greenland)の自治政府高官は14日、米軍が40年前に核兵器を遺棄したチューレ(Thule)周辺の住民の健康診断を求める方針だと語った。

 グリーンランド出身で、デンマーク議会でグリーンランド問題を扱う委員会の委員長を務めるLars-Emil Johansen議員はAFPに対し、「核兵器をなくした『犯人』を見つけることは問題ではなく、チューレに住む先住民イヌイット(エスキモー)の健康への影響が懸念される」と語った。

 英国放送協会(BBC)は10日、米軍のB52爆撃機が1968年1月にチューレで墜落した際、同機に搭載されていた核兵器4発のうち1発が見つかっていないと報じた。

 Johansen氏は「海洋環境や魚類およびほ乳類への調査は多数行われているが、住民に対してはほとんどない。人間にも関心を向けるべきだ」と語った。

 一方、グリーンランド自治政府のPer Berthlesen外相は12日、BBCの報道について、自治政府は以前から、核兵器が発見されていない事実を承知していたと述べたうえで、環境への「影響はない」とした。Berthlesen外相は、BBCの報道を受け、米国およびデンマーク両政府からの応答を待っていると語った。(c)AFP