【11月6日 AFP】次期米大統領に選出されたバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員(47)は、米国史上初の黒人大統領という歴史を打ち立てたが、彼の警備はまさにその人種的背景ゆえに、これまでの大統領警備よりもさらに大きな課題を突きつけられることになりそうだ。

 オバマ氏の警備には本選投票日の18か月前、2007年5月から、米大統領警護隊(シークレット・サービス、US Secret Service)がついている。シークレット・サービスは米国土安全保障省(DHS)の一部門だ。大統領候補に警護特務部隊がついた時期としては、史上最も早かった。

 この問題を直接的に取り上げようとする者は少ないが、米軍最高司令官としても黒人初となるオバマ氏が生命の危険にさらされる度合いは、前例のないものになるだろう。前週、大統領選投票の直前にはテネシー(Tennessee)州で、オバマ氏暗殺を計画していた18歳と20歳の白人至上主義者の男2人が逮捕された。

 現在、オバマ氏と副大統領に就くジョー・バイデン(Joe Biden)上院議員、さらに2人の家族には24時間態勢で、シークレット・サービスのなかでも最高レベルの重武装の警備隊がついている。

 本選が近づくにつれオバマ氏の周辺警備は目に見えて強化されたが、4日の勝利宣言の際には選挙戦を通じて初めて、演台が防弾ガラスで囲われた。

 AFPの取材に対し、シークレット・サービスのエド・ドノバン(Ed Donovan)報道官は、新たな警備態勢の具体例や、オバマ氏のための警備強化の有無については触れなかったが「政権交代の際には、われわれの警護任務上でも、多くの作戦の計画と実行が余儀なくされる」と語った。

 しかし、国民が合法的に2億丁以上の銃火器を所有し、年間3万件もの銃による殺人が発生し、過去に現職大統領4人が暗殺され、2人が暗殺未遂で負傷したことのある米国において、オバマ氏の肌の色は、大統領警備にとって不安材料とならざるえない。

 対テロリズムに関する地政学的な分析を行っている米民間情報シンクタンク、ストラトフォー(Stratfor)のフレッド・バートン(Fred Burton)副社長はAFPに、オバマ氏の警備任務は「これまでにない課題の多い環境に置かれるだろう」と語った。

 元シークレット・サービス要員のバートン氏は6日、オバマ氏の警備に関する同シンクタンク・レポートを発表したばかり。「オバマ氏を守るための警護に対する脅威と課題は、著しくハードルが高い。危険人物を近づかせないために、大量のリソースを用い、警護と戦術に関する膨大な解析を行うことになるだろう」(c)AFP/Michael Mathes