【11月5日 AFP】台湾と中国は4日、両国の経済関係強化を目指し、直行便の運行などを取り決めた経済協定に調印した。60年にわたり、時に戦争が危ぶまれるほど敵対した中台関係の改善を示す歴史的協定だといえる。

 4日午前から台北(Taipei)市内のホテルで協議を行なった後、合意文書に調印した中国側の窓口機関、海峡両岸関係協会(海協会、China's Association for Relations Across the Taiwan Strait)の陳雲林(Chen Yunlin)氏と、台湾の海峡交流基金会(海基会、Strait Exchange Foundation)の江丙坤(Chiang Pin-kung)氏は握手を交わし、贈り物を交換した。

 合意によれば、直通の旅客便を現行の3倍の週108便に増やし、中国国内の発着地も現在の5都市から21都市に増やすほか、一か月あたり最大で60便(往復)の貨物便も開設する。さらに直行海上貨物便の開設、郵便の直接配達の開始、世界的な金融危機への協力、食品安全問題を扱う仕組みの構築で合意した。

 現在は中台間の交通は別の国の領空・領海を経由することが求められ、直接の通行はみとめられていない。台湾の実業界は輸送コストの削減につながる直行便の開設を強く求めていた。江丙坤氏は、記者団に対し、空の直行便開設により航空会社は燃料費を40-50%削減でき、航空輸送コストは15-30%安くなり、海上輸送にかかる時間も最大27時間短縮されると述べた。

 今年5月の政権発足以来、台湾の国民党政権は、経済活性化のため中国との関係強化を進めてきたが、中国の影響力が増すと現在の自由なライフスタイルが失われるのではないかとの懸念から、台湾では国民党政権の政策を批判する声も多い。(c)AFP/Amber Wang