【11月3日 AFP】投票が4日に迫った2008年の米大統領選は、2年間におよび選挙戦にスター政治家が次々と登場し、スリルにあふれる展開で人々を夢中にしてきた。最後にもう一度、どんでん返しはあるのだろうか。

 3度の冬にわたる選挙戦は、氷に閉ざされたアイオワ(Iowa)の平原からネバダ(Nevada)の砂漠までめまぐるしくその舞台を変え、ハワイ(Hawai)や中東への異例の寄り道があり、史上最も多くの資金が投入され、候補決定までに最も時間がかかり、歴史に残るものになった。

 民主党のバラク・オバマ(Barack Obama)候補(47)か共和党のジョン・マケイン(John McCain)候補(72)が、この長い物語に終止符を打つことになる――票の数え直しといったドラマがなければ。

 アメリカ初の黒人大統領になるまであと一歩のところにいるオバマ氏は、驚くべきことに前回の大統領選があった4年前は上院議員でさえなかった。

 海軍の退役パイロットであるマケイン氏は、選挙スローガンの「カントリー・ファースト(何よりも国のことが一番)」を再び口にする機会を与えられるだろうか。これまでの無数の世論調査は波乱に富んでいたが、決戦直前の調査結果が示唆しているのはマケイン氏の敗北だ。
 
■撤退した候補者たち

 最優秀助演俳優賞を与えるとすれば、民主党の候補者選びで1年前にはオバマ氏に33%もの大差をつけ、一度は絶対的優位にみえたヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員だろう。

 しかし、1月のアイオワ州党大会でオバマ氏が衝撃的な勝利を果たしたところからクリントン陣営はほころびをみせ始め、6か月の激戦の末ついに敗北を認めた。予備選では女性であることによる「見えない天井」の克服を期待した1800万票を集めたが、米国初の女性大統領を目指す彼女の夢は、夢のまま終わった。

 ほかにも、実際に俳優としてハリウッド映画に出演した経験もある政治家、フレッド・トンプソン(Fred Thompson)氏も共和党予備選に出馬したが、選挙戦早々に撤退し、故ロナルド・レーガン(Ronald Reagan)大統領の再来を願う同党保守派の夢はかなわなかった。

 バプティスト派の元牧師、マイク・ハッカビー(Mike Huckabee)前アーカンソー(Arkansas)州知事は一時ジョーク好きなキャラクターで人気を集め、同党のアイオワ大会で勝利したが、選挙戦序盤で姿を消した。

 2001年米国同時多発テロの発生時にニューヨーク(New York)市長だったルドルフ・ジュリアーニ(Rudolph Giuliani)氏も、共和党予備選の早い段階で脱落したが、それでも民主党副大統領候補ジョー・バイデン(Joe Biden)上院議員の選挙戦名言の標的にされた。バイデン氏いわく「ジュリアーニ氏が発するセンテンスには3つの要素しかない。名詞と動詞、そして911だ」

 民主党側では、予備選で3位につけていたジョン・エドワーズ(John Edwards)上院議員が、エリザベス(Elizabeth Edwards)夫人が不治のガンであることを明らかにした。しかし撤退表明後に過去の不倫関係が発覚し、敗北の傷をさらに深める結果になった。(c)AFP/Stephen Collinson