【10月27日 AFP】中国チベット(Tibet)自治区をめぐる中国政府と亡命政府の協議に進展がないなか、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世の側近は26日、中国政府に対する要求を、これまでの自治権拡大から、より強度な完全独立へと先鋭化させる可能性もあることを示唆した。

 この変更方針が実現すれば亡命政府にとっては歴史的転換となるが、中国側が態度を硬化させるのは確実だ。

 チベット運動の方向性は、来月、世界中の亡命チベット人コミュニティから300人の代表が集まって開く特別会議の焦点になるだろう。運動の目標が、これまで中国政府に求めてきた自治権拡大から完全な独立の達成に変わる可能性がある。ただし、ダライ・ラマの報道官テンジン・タクラ(Tenzin Taklha)氏は、AFPに対し「唯一議論の余地がない点は、運動が今後も非暴力的であり続けることだ。このことは全員が同意している」と述べた。

 前週末、胆石の手術後に初めて公の場で演説したダライ・ラマは前週末、7回にわたってチベット側の特使と中国政府高官と協議を重ねた結果、中国側からなんらかの譲歩を引き出すことはあきらめたと語った。

 ダライ・ラマは長年、チベットにとって「有意義な自治」を中国側に求める「中道主義」を方針として掲げてきた。しかし、若い先鋭的な活動家たちは完全独立を求めてきた。(c)AFP