【10月27日 AFP】来週に迫った米大統領選挙で民主党のバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員、共和党のジョン・マケイン(John McCain)上院議員のどちらが当選しようとも、次期米政権はイランや北朝鮮などの反米諸国との対話を進めると専門家らは予測している。

 オバマ氏のほうがマケイン氏よりも対話に積極的だとみられているのは事実だが、いずれの候補にとっても対話は既定路線だというのが専門家らの指摘だ。

 というのも、2002年の一般教書演説でイラク、イラン、北朝鮮の3か国を「悪の枢軸」と呼び、体制崩壊に向けて圧力をかけるとともに親米の民主主義の推進を図る新保守主義(ネオコン)的な政策を示していたジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領自身が、イラク問題の泥沼化をきっかけに方針転換をしているからだ。

 アナリストのPeter Beinart氏はAFPに対し、「現実に、米国と敵対的な体制とは対話しないとのブッシュ政権の方針は、すでに過去のものだ。マケイン氏も、オバマ氏も対話を行うだろう」と話す。

 問題は、次期米政権がどのようなレベルで対話を行うかという点だ。

 オバマ氏は、心理的にはイランや北朝鮮、シリア、キューバ、ベネズエラといった国々との対話を希望しているものの、実務的・政治的な制限に直面している。一方のマケイン氏はネオコン的な傾向を持ち、同じ傾向のある人びとを政権入りさせる可能性があるが、それでも幾つかの反米諸国とは対話するとみられている。

 米シンクタンク「シカゴ地球問題評議会(Chicago Council on Global Affairs)」が9月に発表した世論調査では、米国が将来的にキューバや北朝鮮、イラン、ミャンマーの指導者や、ヒズボラ(Hezbollah)、ハマス(Hamas)などのイスラム原理主義組織と対話することに対し、米国人の大多数は「支持する」と回答した。

 ただ、専門家らはヒズボラやハマスはテロ組織に指定されているため、米次期政権が対話に転じることは難しいだろうとの見解を示している。(c)AFP