【10月26日 AFP】共和党の大統領候補ジョン・マケイン(John McCain)上院議員の白人女性選挙ボランティアが、マケインと書かれたステッカーを付けた自動車から降りたところを黒人男性に襲われ、現金を奪われた上、ほおにナイフでバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員の頭文字である「B」の傷をつけられたと警察に訴える事件が発生したが、24日、現地警察は事件が女性による作り話だったと発表した。

 マケイン陣営の女性ボランティア、アシュリー・トッド(Ashley Todd)容疑者(20)は、22日夜ペンシルベニア(Pennsylvania)州、ピッツバーグ(Pittsburgh)のATMで現金を引き下ろしているところを、190cmほどの黒人男性に襲われたと警察に訴えていた。ピッツバーグ警察によると、トッド容疑者は虚偽の供述を行った疑いで近く書類送検される。

 民主党のオバマ上院議員か共和党のマケイン上院議員かを選ぶ11月4日の大統領本選挙まで2週間をきるなか、事件の一報が23日に伝えられると、このニュースは瞬く間に米メディアを駆け巡った。すぐさまマケイン氏と共和党の副大統領候補のサラ・ペイリン(Sarah Palin)アラスカ(Alaska)州知事が直接見舞いの電話を入れ、一方のオバマ陣営は暴力を非難する声明を発表するという事態に発展した。

 ほおに左右反転させた「B」と読み取れる傷があり、さらに殴られて目が黒ずんだこの女性の写真はインターネットに掲載され、ケーブルテレビのニュース番組でも伝えられた。

 ピッツバーグ警察署の関係者はトッド容疑者について、過去に精神疾患の病歴があるようだと述べている。同容疑者は、「B」の傷がどのように顔につけられたか記憶になく、鏡で自分の顔に「B」の文字があるのを見て、「バラク」を連想したと話したという。

 警察は、トッド容疑者が自分で顔に傷をつけ友人の家を訪問、事件の話を聞いた友人の勧めで警察に通報したとみている。(c)AFP