【10月24日 AFP】米共和党の副大統領候補サラ・ペイリン(Sarah Palin)アラスカ(Alaska)州知事が、副大統領の職務について失笑を買う発言を相次いで行い、選挙キャンペーン用衣装代に15万ドル(約1500万円)もかけていたことが発覚したことと相まって、同氏が共和党支持率を低下させている要因になっているとの懸念が再び広がっている。

 共和党大統領候補のジョン・マケイン(John McCain)上院議員(72)が、副大統領候補に政治的に無名だったアラスカ州知事のペイリン氏を抜擢(ばってき)してから7週間がたったが、共和党支持者らは、現在ではペイリン氏を「ふくらむ負債」としてみていることが、22日に発表された世論調査で浮き彫りになった。

 米経済紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)と米NBCニュースの実施した世論調査によると、ペイリン氏が副大統領候補に適任だと思う有権者はますます減少している。ペイリン氏を否定的にみる回答者は47%に上り、マケイン氏は民主党候補のバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員に10ポイントの差をつけられた。

 ペイリン氏をめぐっては、義弟の警察官を解職するよう州公安委員長に圧力をかけたとされる「トゥルーパーゲート(troopergate)」問題で、アラスカ州議会が州知事の職権乱用を認定したが、ペイリン氏が公務員の倫理規定に違反したかどうかについて、新たな調査が行われている。共和党の広報担当者は、ペイリン氏が、州議会の調査を「政治的な魔女狩り」と非難し、新たな調査を要請したと説明した。

 また、ペイリン氏は今週、副大統領候補の公開討論会やテレビのインタビューなどで、副大統領職について正しく説明できず、批判を浴びた。あるテレビのインタビューでは、「副大統領は何をするのか」という小学生からの質問に対して、「上院を運営することよ。必要な時は上院に介入して、良い方向へ政策変更などを行うの」と語った。だが実際は、副大統領は上院議長ではあるものの、本会議表決が賛否同数の場合のみ1票を投じることができるだけで、議事進行などに加わることはない。ペイリン氏の発言は米憲法が規定する権力分立に相反することとなり、失笑を買った。

 21日には、米政治専門サイト「ポリティコ(Politico)」が、ペイリン氏の衣装代に8月以降で15万ドルを支出していたとする共和党全国委員会(Republican National CommitteeRNC)の財務情報を発表し、ふたたび動揺が巻き起こっていた。(c)AFP/Emmanuel Parisse