【10月16日 AFP】北朝鮮のテロ支援国家指定を米国が解除したことで、この措置に不満を持つ日本政府内に独自の核兵器開発を考えるべきとの主張が台頭するのではないかと懸念する声が、米専門家らの間で上がっている。

 日本は、北朝鮮が拉致問題に関する完全な説明を拒んでいるにもかかわらず、テロ支援国指定が解除されたことに不満を示している。麻生太郎(Taro Aso)首相は拉致問題解決前の指定解除を批判、対北朝鮮の経済・エネルギー支援を行うつもりはないことを表明した。民主党の小沢一郎(Ichiro Ozawa)代表も、半世紀にわたる日米同盟について「本当の同盟ではない」と批判した。

 米中央情報局(Central Intelligence AgencyCIA)元職員で保守系研究機関ヘリテージ財団(Heritage Foundation)のアジア専門家、ブルース・クリングナー(Bruce Klingner)上席研究員は「明らかに、日本政府は拉致問題の進展という外交の最優先課題において(米国に)見捨てられたと感じているだろう」と指摘する。

 CIAで北朝鮮問題を担当していたクリングナー氏は、米政府はジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領が小泉純一郎(Junichiro Koizumi)元首相に対して行った「個人的な約束」を含め、拉致問題の解決に強く協力すると日本に表明しておきながら、この約束を破ったと非難している。

 一方、元米国務省の外交官、ジョン・ボルトン(John Bolton)氏は、ブッシュ大統領が1月の任期切れを前に北朝鮮問題での外交的成果を急ぐあまり日本を二の次にすれば、弊害を招く可能性が高いと警告する。

 ボルトン氏は「日本で独自の核兵器開発の気運が高まれば、米政府と中国政府双方の不利益になる可能性が高い」とし、「日本政府が北朝鮮の核の脅威が依然として存在していると判断する場合や、中国が戦略核兵器能力や海軍の外洋航行能力の改良・拡大を続けていく場合、こうした事態も起こりうる」と強調した。

 ボルトン氏は、米中が主導する北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議を強く批判していることで知られている。(c)AFP/P. Parameswaran