イスラエル2人目の女性首相めざすリブニ氏、前途は多難
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【9月23日 AFP】イスラエルのシモン・ペレス(Shimon Peres)大統領は22日、エフド・オルメルト(Ehud Olmert)首相が正式に辞任表明したことから、後継者に選出されたツィピ・リブニ(Tzipi Livni)外相(50)に新政府の発足を要請した。
イスラエルの対外特務機関モサド(Mossad)のエージェントだった経験も持つ中道右派政党カディマ(Kadima)のリブニ外相には、1969年から1974年まで首相を務めたゴルダ・メイア(Golda Meir)氏以来2人目となる女性首相誕生への期待がかかる。
世論調査では野党・右派リクード(Likud)党の優位が伝えられるなか、解散総選挙を避けたいリブニ氏は、6週間以内の連立政権発足を目指し、リクード党首のベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)元首相に連立を呼びかけてきたが、ネタニヤフ党首はくり返し連立政権の可能性を否定し、早期の解散総選挙を求めている。
これに対しリブニ氏は、新政権のもとで各政党が団結しなければ、イスラエル政治の長期不安定化を招くと警告。各国会会派と将来の連立を含めた協議を進める一方で、カディマ党員らに一致団結を呼びかけた。
しかし、混迷が続くイスラエル政局で、リブニ氏が確実に国会を掌握できるという保証はないのが実状だ。
現在の最大連立パートナーである労働党(Labour party)は、リクード党のネタニヤフ党首との会談後、解散総選挙、もしくは「非常事態政府」樹立を求める動きをみせている。
ハーレツ(Haaretz)紙は、リブニ氏の側近の話として、オルメルト首相が正式に辞表を提出した数時間後に、リブニ氏が労働党党首のエフド・バラク(Ehud Barak)国防相と面会し、新政権でも大連立パートナーとしての協力を要請したと伝えている。
一方、イスラエル政局の数々の局面で影響力を示してきたユダヤ教超正統派政党シャス(Shas)は、パレスチナとの和平交渉に臨むいかなる政府にも協力する考えはないと明言している。
同時にリブニ氏は、シャウル・ モファズ(Shaul Mofaz)運輸相との間で争われたカディマ党首選をめぐって生まれた党内の亀裂を修復する必要にも迫られている。 2005年に結成、2006年に政権の座についたカディマ党だが、3年あまりの政権下で閣僚らの汚職スキャンダルなどが相次いだ。(c)AFP/Marius Schattner