【9月22日 AFP】(写真追加)11月の大統領選挙本選を控え各地で開かれている共和党の選挙集会で、副大統領候補サラ・ペイリン(Sarah Palin) アラスカ(Alaska)州知事(44)が、大統領候補ジョン・マケイン(John McCain)上院議員(72)をしのぐ勢いで、党員らの人気と称賛を集めている。

■お決まりのスピーチでも聴衆は大歓声

 金融危機が深まるなか、大統領候補として経済問題に演説の大半を割かなければならないマケイン氏に比べ、突如副大統領候補に抜擢された「新人」ペイリン氏に課せられている使命は軽い。

 集まった聴衆の「We love サラ!(サラ大好き)」コールに迎えられた後、お決まりの簡潔なスピーチは毎回、5人の子どもと、ペイリン氏が「アラスカ1の男」と呼ぶ夫トッド・ペイリン(Todd Palin)氏の話から始まる。家族の話の後はよく知られている趣味のハンティングや釣り、アイスホッケーの話題。18日の集会では、開催地のウィスコンシン(Wisconsin)州を「素晴らしいホッケー、ハンティング、釣り、フットボールをみんなが楽しんでいる州」とたたえ、支持者たちを熱狂させた。

 一方、ダウン症を患う4歳の末息子トリグ(Trig Palin)ちゃんの話では人々の感動を誘い、「すべての子どもが尊重され、機会を与えられるアメリカ」を訴える。

 場内の喝采がいっそう高まったのは、高騰するガソリン価格対策として、海底油田採掘(ドリリング)の再開を掲げたとき。聴衆は一斉に「ドリル、ベイビー、ドリル!」の大合唱を送った。

■自らマケイン氏を脇に追いやる発言も

 デザイナーブランドのめがねをかけ、鮮やかな色の服をスマートに着こなす元ミスコンテスト・クイーンのペイリン氏は外見上も確かに、堅苦しいスーツに身を固める顔色の悪いマケイン氏とは対照的だ。

 ペイリン氏こそが「主役」なのではないかという点には、ほとんど疑問の余地がないともいえる。各地での集会前、支持者たちは「サラ、サラ」と声援を送り、共和党員はみな口をそろえてペイリン氏は「魅力的だ」と誉めそやす。ペイリン氏の出番が終わると、マケイン氏の演説を聞かずに帰ってしまう参加者さえいる。

 マケイン氏の影がかすんでいるという印象を、ペイリン氏自身が強めてしまっている点もある。「ランニング・メイト」とは通常、副大統領候補を指す言葉だが、ペイリン氏は遊説の先々でマケイン氏を「わたしのランニング・メイト、わたしの友人」と呼んでいる。

 ましてやある集会では、本選で民主党に勝利すれば自分が副大統領に就く次期共和党政権を「ペイリン・マケイン政権」とさえ言いのけた。(c)AFP/Charlotte Hill