【9月11日 AFP】(一部更新)韓国は、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の病状悪化にともなう同国政治情勢の急変に備え、11日から警戒態勢に入った。

 李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)大統領は同日、安全保障担当の閣僚と補佐官に「北朝鮮の政治情勢の変化による混乱を最小限に抑えるため、万全の準備態勢を整えるよう」指示した。

 また、李相憙(イ・サンヒ、Lee Sang-Hee)国防相は同日、議会に金総書記の病状について報告し、あらゆる緊急事態に備えて、軍事計画を策定していると語った。同国防相によれば、金総書記は手術のあと順調に回復しているという。

 李国防相は同日、国会の国防委員会で、金総書記は脳疾患により倒れ手術を受けたが回復していると報告した。金総書記の手術についてはこれまで関係者の話として匿名で伝えられていたが、確認されたのはこれが初めて。

 韓国政府の間では、現在も北朝鮮の実権は金総書記の手にあるとの見方が大勢だ。その一方で、金総書記が最高指導者でなくなった場合、力を増した軍部が核問題や南北対話で強硬な態度に出るのではないかと危ぐする専門家の声もある。

 劉承ミン(ユ・スンミン、Yoo Seong-Min)議員によると、李国防相は北朝鮮人民軍に特に変わった動きは見られず、韓国軍も通常レベルの警戒態勢をとっていると伝えた。

 北朝鮮の政治情勢の急変に備え米韓合同緊急計画を立てるのかとの質問に対し、李国防相は関係当局が「限定的な挑発(の可能性)や全面戦争に備えた」戦略について話し合いを進めていると答えた。

 国家情報院は前日の国家情報委員会で、金総書記の容態について、公の場には出られないが言語障害もなく順調に回復しており、国政を行うことは可能だと報告している。

 同委員会の李チョル雨(イ・チョルウ、Lee Chul-Woo)議員は、金総書記は急速に回復しており、支えられて立つことも可能で、意思疎通にも問題はないと報告した。
 
 李議員によると、韓国政府は金総書記の健康状態の異変に8月中旬から気付いていたという。

 北朝鮮の国内メディアは、前月14日の人民軍部隊の視察を最後に、金総書記の姿を報じていない。(c)AFP/Jun Kwanwoo