【9月10日 AFP】自民党総裁選が10日告示された。米国が主導する「テロとの戦い」をめぐっては全候補者が支持を表明する一方で、景気の減速をめぐっては各候補が対立している。

 前週の福田康夫首相の突然の辞任を受け、自民党史上最大の5人が立候補を届け出た。

 麻生太郎(Taro Aso)幹事長(67)は、元外相で派手な振る舞いで知られる。総裁選は4度目の出馬。22日の自民党総裁選の直後に解散総選挙が実施されるとの見通しが強まるなか、自分こそが、勢いを取り戻した野党と対決できる候補者だと主張した。

 麻生氏は、候補者5人が行った共同記者会見で、日本の政治がかつてない危機に直面しているとの見方を示し、他の候補者と比較して、経験や実績で上回っている点を強調。日本が直面しているさまざまな問題に取り組む決意と覚悟を持って総裁選に出馬したと述べた。また、米軍を中心とした駐イラク連合軍に対する自衛隊の物資輸送や人的支援の中止を示唆した。

■自衛隊インド洋派遣継続で一致

 米軍を中心とした駐アフガニスタン連合軍に対するインド洋での自衛隊の給油活動については、麻生氏を含む全候補者が継続を主張。野党に対抗する姿勢を見せた。

 小池百合子(Yuriko Koike)元防衛相は、元テレビキャスターで環境相などを歴任。日本初の女性首相を目指す。小池氏は、インド洋での自衛隊の活動が、日本が国際貢献するために重要であると主張。国内事情のためにインド洋から自衛隊を撤退させるのは断腸の思いだと述べた。

 石破茂(Shigeru Ishiba)前防衛相は、2006年に終了したイラクへの陸上自衛隊の派遣を主導した実績を持つ。石破氏は、国際的な「テロとの戦い」が、「最大の正念場」にさしかかっているとの見方を示した。

■経済政策で論戦

 世界第2位の経済大国である日本の財政再建案をめぐっては、消費税率引き上げの是非などで候補者らが対立した。

 麻生氏は、「直ちに消費税を上げるのはいかがなものか。景気を冷やすことになる」と主張。

 一方、与謝野馨(Kaoru Yosano)経済財政担当相(70)は、高齢化が急速に進むなか、政治家が年金制度の維持に責任をとらなければならないと述べた。与謝野氏は、年金制度と医療制度の持続性を確保しなければならないと主張し、技術的な問題は残るものの、財源の確保のためには「消費税しかない」と述べた。

 また、石原伸晃元政調会長(51)は、若い世代へのアピールを約束し、構造改革推進を主張した。(c)AFP/Harumi Ozawa