【9月7日 AFP】トルコのアブドラ・ギュル(Abdullah Gul)大統領は6日、外交関係のないアルメニアのエレバン(Yerevan)へ歴史的な訪問を行いサッカーの試合を観戦した。

 トルコの大統領がアルメニアを訪問したのは初めて。ギュル大統領はアルメニアのセルジ・サルキシャン(Serzh Sarkisian)大統領と会談し、1915-1917年のオスマン・トルコ軍によるアルメニア人虐殺をめぐり断絶していた両国関係を修復する「政治的意志」を確認した。

 サルキシャン大統領は「両国間の問題について決断し、次の世代へ問題を残さないようにしようという政治的な意志がある」と述べた。

 会談後、トルコのアンカラ(Ankara)に戻ったギュル大統領は「(アルメニア)訪問は実りが多く、未来への希望を約束するものだった」と述べ、サルキシャン大統領と建設的で誠実な対話をすることができたと付け加えた。

 しかし、関係修復に向けた今後の道のりは険しい。試合が行われたエレバンのサッカースタジアムには和解に向けた両国の動きを歓迎しようという人びともいたものの、スタジアムに到着したギュル大統領を迎えたのは、アルメニアのサッカーファンのブーイングとやじの大合唱だった。

 厳しい警戒態勢のなか、ギュル大統領は防弾仕様の特別席から試合を観戦した。試合は実力で大きく上回るトルコが2-0でアルメニアを下した。サルキシャン大統領は、10月14日にトルコでサッカーの試合を行うようギュル大統領から提案があったことを明らかにした。

 アルメニア側は、第1次大戦中の1915-1917年に最大で150万人が組織的に虐殺されたと主張している。複数の国がこの主張を支持している。

 一方のトルコは「虐殺」を否定し、アルメニアがアナトリア(Anatolia)東部で独立のため武装しロシアの侵略軍を支持した際に、市民間の衝突で30万-50万人のアルメニア人と少なくとも同数のトルコ人が死亡したと主張している。(c)AFP/Nicolas Cheviron