<08米大統領選挙>ペイリン氏の娘の妊娠発覚、米性教育の困難を浮き彫りに
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【9月4日 AFP】米大統領選で共和党の副大統領候補に指名されたサラ・ペイリン(Sarah Palin)アラスカ(Alaska)州知事が、17歳の未婚の娘ブリストル(Bristol Palin)さんの妊娠を明らかにしたことで、米国の10代に対する性教育の難しさが改めて浮き彫りとなっている。
ブリストルさんの妊娠発覚により、10代少女の妊娠問題が再注目されたとともに、10代の性教育において「自己抑制教育のみ」のプログラムを提唱する人々と、包括的プログラムを求める人々の間の対立も再度明らかにされた。
ペイリン知事は2006年、「自己抑制教育のみ」のプログラムを支持するかと質問された際、学校においてあからさまな性教育を行うことには反対する立場を表明した。
■米国の出産、1000人中44人が10代女性
米議会は「自己抑制教育のみ」のプログラムを推奨する州に対し、過去10年にわたり数億ドルの支援を提供してきたが、その効果については広く疑問視されている。
人口問題について人権に基づく観点から政策提言している独立団体「ポピュレーション・アクション・インターナショナル(Population Action International、PAI)」が2007年に発表した統計によると、米国で2000年から05年に出産した女性のうち1000人中44人が15-19歳という割合だったという。欧州で10代の出産比率が最も高いとされている英国でも1000人中27人だ。
この統計を見れば「自己抑制教育のみ」のプログラムに対し疑問が生じるとPAIのカレン・ハーディ(Karen Hardee)副代表は言う。「抑制させることができるなら、禁欲を教えるプログラムは効果的だ。だが多くの統計で、10代の若者に性行為を控えさせるためには、自己抑制のみのプログラムでは効果的でないことが示されている」と指摘する。
■米10代妊娠の8割は計画外
ワシントンD.C(Washington, DC)を拠点に10代の妊娠防止に取り組む団体「National Campaign to Prevent Teen and Unplanned Pregnancy」によると、米国の少女10人中3人が20歳までに妊娠経験があり、10代で妊娠する少女は毎年約72万9000人に上るという。また、10代で妊娠した10人のうち8人が、計画した妊娠ではなかったという。
コロンビア大学(Columbia University)公衆衛生大学院のジョン・サンテリ(John Santelli)医学博士も「自己抑制教育のみ」のプログラムに対する懐疑は高まっていると指摘する。
一方、コロラド(Colorado)州のキリスト教福音派団体「フォーカス・オン・ザ・ファミリー(Focus on the Family)」の性問題専門家Linda Klepacki氏は、性行為に関する「自己抑制のみ」のプログラムは、10代を対象とした薬物やアルコールに関する教育プログラムを模倣したに過ぎないという。
同氏は「アルコール教育では常に、アルコールのもたらすリスクを回避しようという話をし、飲酒が認められる年齢になるまではとにかく飲酒しないよう助言する。これは薬物に関する教育とまったく同じだ。性行為に関する『自己抑制のみ』も同様に、こうしたリスク回避から入る取り組み方を踏襲しており、われわれはとにかく、子どもたちにリスク回避と教えることを推奨する」と述べた。
また、テキサスA&M大学(Texas A & M University)健康情報科学センターのPatricia Sulak教授(産科学および婦人科学)は、1990年代にテキサス(Texas)州の学校向けに自己抑制を基礎とした性教育プログラム「Worth the Wait(待つことに価値がある)」の草案に参加した。このプログラムでは禁欲を10代にとって最も健康的な選択肢として提唱し、ショッピングやピクニックなど性行為以外の「楽しい活動」を勧めてきた。しかし同教授は、いかなる性教育にしても、成功するか否かは両親など周囲の支えに左右されると指摘した。(c)AFP
ブリストルさんの妊娠発覚により、10代少女の妊娠問題が再注目されたとともに、10代の性教育において「自己抑制教育のみ」のプログラムを提唱する人々と、包括的プログラムを求める人々の間の対立も再度明らかにされた。
ペイリン知事は2006年、「自己抑制教育のみ」のプログラムを支持するかと質問された際、学校においてあからさまな性教育を行うことには反対する立場を表明した。
■米国の出産、1000人中44人が10代女性
米議会は「自己抑制教育のみ」のプログラムを推奨する州に対し、過去10年にわたり数億ドルの支援を提供してきたが、その効果については広く疑問視されている。
人口問題について人権に基づく観点から政策提言している独立団体「ポピュレーション・アクション・インターナショナル(Population Action International、PAI)」が2007年に発表した統計によると、米国で2000年から05年に出産した女性のうち1000人中44人が15-19歳という割合だったという。欧州で10代の出産比率が最も高いとされている英国でも1000人中27人だ。
この統計を見れば「自己抑制教育のみ」のプログラムに対し疑問が生じるとPAIのカレン・ハーディ(Karen Hardee)副代表は言う。「抑制させることができるなら、禁欲を教えるプログラムは効果的だ。だが多くの統計で、10代の若者に性行為を控えさせるためには、自己抑制のみのプログラムでは効果的でないことが示されている」と指摘する。
■米10代妊娠の8割は計画外
ワシントンD.C(Washington, DC)を拠点に10代の妊娠防止に取り組む団体「National Campaign to Prevent Teen and Unplanned Pregnancy」によると、米国の少女10人中3人が20歳までに妊娠経験があり、10代で妊娠する少女は毎年約72万9000人に上るという。また、10代で妊娠した10人のうち8人が、計画した妊娠ではなかったという。
コロンビア大学(Columbia University)公衆衛生大学院のジョン・サンテリ(John Santelli)医学博士も「自己抑制教育のみ」のプログラムに対する懐疑は高まっていると指摘する。
一方、コロラド(Colorado)州のキリスト教福音派団体「フォーカス・オン・ザ・ファミリー(Focus on the Family)」の性問題専門家Linda Klepacki氏は、性行為に関する「自己抑制のみ」のプログラムは、10代を対象とした薬物やアルコールに関する教育プログラムを模倣したに過ぎないという。
同氏は「アルコール教育では常に、アルコールのもたらすリスクを回避しようという話をし、飲酒が認められる年齢になるまではとにかく飲酒しないよう助言する。これは薬物に関する教育とまったく同じだ。性行為に関する『自己抑制のみ』も同様に、こうしたリスク回避から入る取り組み方を踏襲しており、われわれはとにかく、子どもたちにリスク回避と教えることを推奨する」と述べた。
また、テキサスA&M大学(Texas A & M University)健康情報科学センターのPatricia Sulak教授(産科学および婦人科学)は、1990年代にテキサス(Texas)州の学校向けに自己抑制を基礎とした性教育プログラム「Worth the Wait(待つことに価値がある)」の草案に参加した。このプログラムでは禁欲を10代にとって最も健康的な選択肢として提唱し、ショッピングやピクニックなど性行為以外の「楽しい活動」を勧めてきた。しかし同教授は、いかなる性教育にしても、成功するか否かは両親など周囲の支えに左右されると指摘した。(c)AFP