【7月23日 AFP】米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙は22日、前週スイスのジュネーブ(Geneva)で行われたイラン核問題をめぐる会談でイラン代表団が配布したという非公式の外交文書を入手したという記事を掲載した。

 この文書の中でイラン政府は、さらに7回の会談を要求、合わせて制裁解除の必要を強調している。一方で国連安全保障理事会(UN Security Council)常任理事国5か国とドイツによる、ウラン濃縮活動停止の見返り案についてはまったく言及がなかった。

「包括的交渉の手順」と題された2ページのこの英文の文書は、外交の場で非公式文書を意味する「nonpaper」という単語が「None paper」とつづられるなど2か所でつづりの間違いがあった。

 同紙は「これほど多くの会談をしようとしたら最低でも数年かかる」という欧州(EU)高官の話を引用した。同紙は書類の入手経由を明らかにしていないが、ある会議参加者によるとロシアのセルゲイ・キスリャク(Sergei Kisliak)外務副大臣はこの文書を読んで「笑いをこらえられなかった」という。

 書類によるとイラン側は「参加者は交渉の進展を妨げかねない意見の相違がある問題については言及あるいは議論を控える」とし、核活動については言及していない。

 この文書は今後のステップを次のように定めている。

1)予備会談
 EUのハビエル・ソラナ(Javier Solana)共通外交・安全保障上級代表と少なくとも3回会談し、「次段階で行われる交渉における日程と課題」を決定する。

2)会合開始
 イラン代表団、ソラナ氏、安保理常任理事国5か国とドイツの外相で少なくとも4回の会合を開き、「日程、協議内容、交渉の優先順位」で合意する。この際各国は「国連安保理内外いずれにおいてもイランに対する2国間および多国間の行動および制裁を課すことを控える」。

3)交渉
 6か国は「制裁および現存する国連安保理決議を解除し、イランは合意された行動を実行する」。「合意された行動」について具体的な記述はない。交渉期限は2か月としながらも「相互の合意」によって延長可能としている。

 この文書は「包括的合意」が締結されれば、「イランの核問題は安保理内で完結し、(国際原子力)機関に完全に復帰するだろう」と結ばれている。(c)AFP