【7月19日 AFP】ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領とイラクのヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相は17日、テレビ会談を行い、長期的な安全保障に関する協定に、米軍のイラク撤退計画を盛り込むことで一致した。18日、ダナ・ ペリーノ(Dana Perino)大統領報道官が発表した。

 一方で、ペリーノ報道官はイラク駐留米軍の削減について「現地の状況改善が継続することが条件であり、任意に撤退の期日を決定するものではない」と強調した。

 会談で両首脳は、外交関係と米軍駐留についての長期的な協定の策定に向けた交渉の行き詰まりを打開する「共通の展望」を示すことでも一致した。

 米大統領選では、米軍のイラク駐留問題がさかんに議論されている。民主党のバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員は、政権獲得から16か月以内に米軍をイラクから撤退させる計画を打ち出している。

 一方、共和党のジョン・マケイン(John McCain) 上院議員は、「当面の米軍駐留についての合意は、昨年からの兵力増強が成功した証し」と述べ、オバマ氏に真っ向から対立する。

 マケイン氏は、「条件に基づいた撤退は、現在成果を挙げている米・イラク両国による兵力増強によって成立する」と主張する。

 オバマ陣営は米政府の発表について、「正しい方向への一歩」と評価しつつ、イラクの長期的安定化のため政治的和解をするよう同国の政治指導者たちに圧力をかけ、余剰兵力をアフガニスタンに派遣してアフガンでの戦闘終結を目指すべきだとしている。

 米政府がイラク駐留米軍削減はイラクへの関与の全面的停止を意味するものではないと発表する一方、イラク政府報道官は、目標は「イラク領内での米軍の規模削減と、最終的な撤退だ」と述べた。

 ペリーノ報道官はイラクに駐留する米軍の役割について、通常の「戦闘」からイラク軍の訓練や軍事顧問的役割、および特殊部隊による作戦実行に移行するとの見方を示している。(c)AFP/Laurent Lozano