【7月4日 AFP】コロンビアの左翼ゲリラ・コロンビア革命軍(Revolutionary Armed Forces of ColombiaFARC)により6年間にわたり人質として拘束され、2日に政府軍により救出された元大統領候補イングリッド・ベタンクール(Ingrid Betancourt)氏(46)は3日、第2の故郷であるフランスへの帰国を前に、拘束時の様子を語った。

 コロンビアとフランスの両方の国籍を持つベタンクール氏は4日、パリ(Paris)でニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領と会談する。3日にはコロンビアの首都ボゴタ(Bogota)で、すでに子どもらとの再会を果たしている。

 出発前にフランスのラジオ局ヨーロッパ1(Europe 1)のインタビューに応じた同氏は、3年間は昼夜を問わず鎖でつながれていたこと、信仰だけが慰めだったことを明かした。

「3年間は、24時間ずっと鎖でつながれていました。耐えがたいことでしたが、誇りをもって耐え抜いたのです」

 2日の救出劇を迎えるまでの日々は「危機と苦難と虐待」に苦しみつづけたという。

 拷問を受けたのかとの問いには「はい、受けました」と答え、FARCのメンバーが「悪魔のような所業」に及ぶところも見たと語った。「あまりに醜悪な行為だったので、当の本人たちも吐き気を覚えているに違いないと思ったほどです」

「奈落の底へと落ちずにいるためには、途方もない精神力が必要になるのではないでしょうか」と語るベタンクール氏は、救出後のヘリコプターのなかで、FARCメンバーが自分に行った最も「卑しむべき」行為の詳細は明らかにするまいと誓ったという。

 ボゴタの空港での家族との再会については、「神に感謝します。子どもたちはわたしの誇り、生きる理由、わたしの光であり、月であり、星なのです。あの子たちに再会するために、絶対に自由になろうと思っていました」と心情を吐露した。

 2002年2月、大統領選挙の活動中に母親が誘拐されたとき、娘のメラニー(Melanie Delloye)さんは16歳、息子のロレンゾ(Lorenzo Delloye)さんは13歳だった。

 劇的な救出に、ベタンクール氏が幼少時から過ごした第2の故郷であるパリは祝賀ムードだ。

 サルコジ大統領はカーラ・ブルーニ(Carla Bruni)夫人とともに、パリ西部の軍飛行場でベタンクール氏を出迎えたのち、エリゼ宮で家族全員と会談する。

 さらに、今回の救出を「聖母マリアの奇跡」と呼ぶほどの熱心なカトリック信者である同氏は、翌週にもローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)と謁見予定だ。

 パリ行きの飛行機に同乗したサルコジ大統領付きの医師は、ベタンクール氏の健康状態は「万全」としながらも、パリに到着次第、綿密な健康診断が必要だと語った。(c)AFP/Emma Charlton