【6月24日 AFP】米大統領選の共和党候補に確定したジョン・マケイン(John McCain)上院議員(71)が、思わぬ人物から支持を得た。ベトナム戦争中に収監されていた悪名高き捕虜収容所「ハノイ・ヒルトン(Hanoi Hilton)」の看守だ。英国放送協会(BBC)が23日、報じた。

 ベトナム北部ハイフォン(Haiphong)でBBCのインタビューに応じた元看守のトラン・チョン・ズエット(Tran Trong Duyet)さん(75)は、マケイン氏を「友人」と呼び、「わたしが米国人だったら、彼に投票するだろう」と語った。

 海軍航空士官としてベトナム戦争に従軍したマケイン氏は1967年、ハノイ(Hanoi)上空を飛行中に撃墜され、約5年半の捕虜生活のほとんどを「ハノイ・ヒルトン」で過ごした。

 ズエットさんは退職し、現在は社交ダンスのアマチュア競技者。「再会したら、彼はどんな反応をするだろう」とズエットさんは語った。

「わたしたちはベトナム戦争の是非について、いつも論じ合っていた。彼はとても率直かつ保守的で、米国とその理想に忠実だった」

「彼が収容所を去ってから、わたしはずっとその活躍ぶりを見てきた。ベトナム戦争は米国人が始めたもので、彼らがたくさんの人を殺したのは事実だが、わたしたちはもう過去は忘れたいと考えている。だから、わたしはジョン・マケインを友人と見なす。彼は米国とベトナムの関係を修復するために多くのことをなしとげた。彼が大統領になれば、両国関係の改善に向け、いっそう努めてくれるだろう」

■「拷問はなかった」

 ズエットさんは一方で、マケイン氏が主張する収容所での拷問については否定し、「わたしたちは誰も拷問していない。彼はうそをついている」と語った。

「だが彼の気持ちもなんとなくわかる。選挙戦で有権者の支持を得るためにうそをついたのだろう」(c)AFP