【6月23日 AFP】ジンバブエの野党・民主変革運動(Movement for Democratic ChangeMDC)のモーガン・ツァンギライ(Morgan Tsvangirai)議長が22日、大統領選の決選投票への出馬を取りやめると発表したことについて、国民は「多くの人命が救われることになる」と歓迎している。

 首都ハラレ(Harare)で洗車場を営む男性は、「彼は最良の決定を下した。多くの命が救われるだろう。暴力の横行により、明日の命をも知れぬ状況になっているのだから」と話す。
 
 ハラレのある警備員も、「多くの命が救われる」と同意見だ。同日は与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)から「わが党の集会に参加しなければ殴打する」との脅しを受けたため、教会のミサに出席することができなかったという。

 ツァンギライ議長は、自宅で記者会見を開き、「ロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領陣営による弾圧でMDC支持者の80人以上が殺害された。大統領派の民兵がレイプ、拷問、殺人、放火、誘拐などの残虐行為を行っているのに、警察は傍観している」と非難。「公平な投票は望めない」と出馬取りやめを発表すると、集まった支持者らは拍手喝采した。

MDCは、与党による弾圧で1万人が負傷し、20万人が国内避難民となり、家屋2万戸以上が破壊されたと主張している。

 一方で、ハラレ市の当局者は、同氏の出馬取りやめで暴力がなくなるとの見方には懐疑的だ。「暴力は都市部でひどくなるだろう。今後5年間は経済がどん底になり、状況はひどくなるばかり。首都圏が孤立するのは必至だ」(c)AFP