【6月21日 AFP】中国の胡錦涛(Hu Jintao)国家主席は20日、インターネットを利用したストリーミング放送(ウェブキャスト)に初めて生出演してネットユーザーからの質問に答えた。しかし放送時間はわずか5分間で、難しい質問への回答は避けた。

 胡主席が出演したのは共産党機関紙「人民日報(People's Daily)」のウェブサイトのインターネット放送で、白いシャツ姿の胡主席は党宣伝部の一行を従え、くつろいだ様子だった。

 300近い質問が寄せられたが、胡主席は2つの質問に答える時間しかないと述べ、ウェブキャストは約5分間で終了した。もう少し活発な対話を期待していたユーザーの期待には添えなかった。

 最初の質問は、どういった内容のウェブサイトを閲覧するのが好きかというもの。胡主席は、国内・国際ニュースを好んで閲覧しており、「インターネット上の友人たちの関心事や、彼らの意見を聞くのも好きだ」と答えた。

 2つ目の質問は、ウェブサイトに投稿された意見や見解を読むかというもので、胡主席は「党や政府に対する意見や提案を理解したいとも思っている」と答えた。

 寄せられた質問の中にはまん延する汚職に関する調査、物価の高騰、前年12月以降50%近くも下落した株式市場の暴落といった問題に関するものもあったが、無視されたかたちになった。

 中国共産党幹部としては李肇星(Li Zhaoxing)前外相らがこうしたインターネット上のフォーラムに登場した例があるが、胡錦涛主席にとっては2003年に国家主席に就任して以降今回が初めて。

 中国は世界でも厳しいインターネットの検閲制度を導入しており、当局が不適切、不健全、反体制的と見なす情報や内容の閲覧を広域検閲システム「金盾(グレート・ファイアーウオール、Great Firewall)」で規制している。

 世界102か国1万8000紙が加盟する「世界新聞協会(World Association of NewspapersWAN」によると、中国には現在ジャーナリスト30人以上、「サイバー反体制活動家」と呼ばれるインターネット・ライター50人以上が収監されている。

 パリ(Paris)に本部を置く報道の権利監視団体「国境なき記者団(Reporters Without Borders)」は中国を、世界で最も規制が厳しく報道の自由がない国の1つに繰り返し挙げている。(c)AFP