【6月21日 AFP】(一部更新)米下院は20日、「外国情報監視法(Foreign Intelligence Surveillance ActFISA)」にテロ対策として裁判所の令状を必要としない盗聴の法制化を盛り込む改正法案を賛成多数で可決した。同法案は市民の自由に関わる問題として論争を巻き起こしたが、下院による可決は任期満了が近づくジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領にとって大きな政治的勝利となった。

 改正法案は、2001年9月11日の米同時多発テロ発生以来、政府の要請で盗聴に協力した通信会社に対しさかのぼって免責を与える。下院は改正法案を293対129で可決した。

 今後改正法案は上院で審議されるが、ハリー・リード(Harry Reid)民主党上院内総務らは反対の立場を崩していない。

 反対派は、ブッシュ大統領が行った監視プログラムが1978年に制定された外国情報監視法に抵触し違法だと主張する。同法は米国内の米国人に対する監視に裁判所令状の取得を定めている。

 これに対して米政府は、ブッシュ大統領が2007年1月に監視プログラムを外国情報監視法のなかに位置付けたことについて、憲法が定める戦時下の大統領権限を適切に行使したものだと説明する。政府は、同法についてしばしば改正は行われてきたものの、現代の通信事情とテロへの脅威にそぐわないとの見方を示している。

 改正法案が上院でも可決された場合、プログラムに協力した通信会社を相手に係争中の訴訟40件ほどが無効になるという。ブッシュ大統領が行ったテロ対策としての盗聴プログラムは2005年12月、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が暴露、全米に波紋が広がった。(c)AFP