【6月17日 AFP】尖閣諸島(Senkaku Islands)魚釣島沖で、台湾の遊漁船が日本の巡視船と衝突し、沈没した事故をめぐる外交摩擦について、日本、台湾の両政府は17日、冷静な解決を目指すと強調した。

 前日早朝、台湾の抗議船1隻が、巡視船9隻に護衛された状態で日本領海内に侵入した。日本のメディアは、外国の巡視船が抗議船に伴って日本領海内に侵入したことは初めてだと報じた。この事態を受け、台湾の欧鴻錬(Francisco Ou)外交部長(外相)は17日、記者団に対し「外交部は外交チャンネルを通じた平和的解決を目指す」と語った。

 10日未明に発生した発端の衝突事故から約1週間が経過した。この事故では台湾の遊漁船が、領海警備中だった鹿児島海上保安部の巡視船「こしき」と衝突し、沈没した。遊漁船に乗船していた台湾側の16人は全員、こしきが救助し、事情聴取の後、台湾へ送還された。

 台湾外交部はこの事件に強い抗議を表明し、日本政府に謝罪と賠償を求めた。日本政府側は16日、町村信孝(Nobutaka Machimura)官房長官が、「今回の事態で地域の平和が乱されることがあってはならず、関係者が冷静に対応することが必要だ」と述べた。

 政府とは別の動きとして、台湾の議員グループは17日、翌18日に予定していた新たな抗議船の出航を中止すると発表した。与党・国民党の林郁方(Lin Yu-fang)議員は「日本側が態度を軟化させたことを受けて、出航を保留することに決めた。前日の台湾市民による抗議によって、(魚釣島に関する)台湾の領有権の主張は効果的に示された」と語った。

 尖閣諸島周辺には豊富な地下資源が確認されており、中国、台湾も領有権を主張している。
 
 台湾の事実上の大使にあたる駐日代表部、台北駐日経済文化代表処(Taipei Economic and Culture Representative Office)の許世楷(Koh Se-Kai)代表は前週末、台湾政府に召還されたが事件への対応を批判され、16日に抗議し辞任した。

 また米国務省は16日、日本と台湾両政府に抑制を求めた。(c)AFP