【6月17日 AFP】アジア地域で軍事大国として台頭する中国だが、「ソフトパワー」の影響力では日米に遅れを取っているとする世論調査結果が17日、発表された。

 報告は米シンクタンク「シカゴ地球問題評議会(hicago Council on Global Affairs)」と韓国のEast Asia Instituteが日本、韓国、ベトナム、インドネシア、中国、米国で6000人に行った世論調査に基づいている。

 調査対象とされた「ソフトパワー」(非直接的、非軍事的な方法で影響力を発揮する能力)の主要5分野である経済、文化、人的資源、外交、政治において、米国に対する評価は依然、高かった。報告は中国について「経済力、軍事力は成長・拡大しているが、それらはまだ、アジア地域や全世界におけるソフトパワー面に十分反映されているとはいえない」と指摘した。

 また、中国のソフトパワーは「全般的に米国、日本を追っている状態」だと認識されている点も明らかになった。こうした認識は、中国とアジア諸国および世界各国との強い経済的つながりや、来る北京五輪成功によるイメージアップを図ろうとする政府の努力にもかかわらず根強い。

 シカゴ地球問題評議会のMarshall Bouton会長は、「中国は近隣諸国から、将来のアジアにおけるリーダーとなることには議論の余地がないが、地域の心を捉えるためにすべきことはまだ山積みである、と認識されていることが今回の調査に明確に示された」と感想を述べた。

 また米国、中国、日本、インドネシアの国民は、アジア地域で最大の経済的影響力を持っているのは中国だと考えている一方で、韓国およびベトナムでは、中国よりも米国の影響力が大きいと考える国民が多かった。

 調査は中国チベット(Tibet)自治区での暴動および政府の鎮圧や、四川(Sichuan)大地震発生によって、世界の注目が中国の内政に集まる以前の2008年1-2月に実施された。

 また、ほかの調査結果では2003年のイラク侵攻以降、米国は不評を買っているが、今回の調査では、アジア人の大半はいまだ経済、外交、文化、教育など多くの面で米国を「尊敬」しているという結果になっている。(c)AFP/P. Parameswaran