【6月16日 AFP】非常事態が続くバングラデシュで15日、軍部主導の選挙管理内閣は、前年9月に汚職容疑で警察当局に逮捕されたカレダ・ジア(Khaleda Zia)前首相を釈放する方針を明らかにした。今年12月に予定されている総選挙に向け、同前首相が率いるバングラデシュ民族主義党(Bangladesh Nationalist PartyBNP)によるボイコットを回避するためとみられる。

 11日には汚職の罪で1年近く収監されていたハシナ・ワゼド(Hasina Wajed )元首相が仮釈放され、病気治療のため渡米を許可されている。一方、急性関節炎とひざの疾患を抱えるジア氏は、病気治療のために出国する意向はないと表明している。

 ハシナ元首相の仮釈放は、元首相率いるアワミ連盟(Awami LeagueAL)およびBNPとのこうちゃく状態打開に向けた治安当局による政治交渉の一環とみられる。

 BNP、AL両党はこれまで、両党党首が収監されていることを理由に、民主的統治の回復を目指す総選挙実施に向けた交渉に応じることを拒否していた。

 バングラデシュではBNPとALの対立に端を発した政治の停滞と治安悪化で、2007年1月に非常事態宣言が発令され、選挙管理内閣が全権を掌握した。

 当局は前月、民主主義回復に向けた過程の一環として各政党との交渉を開始したが、BNPとALによるボイコットにより過程そのものが破たんする可能性が出てきた。

 ハシナ氏が仮釈放され渡米したことで、ALは交渉再開に合意、総選挙への参加に合意した。専門家はハシナ氏の渡米は「自主的亡命」に等しいとみている。ハシナ氏は複数の汚職疑惑で訴追されており、欠席のまま公判が行われる見通し。

 選挙管理内閣は前年、同国の腐敗した政治制度再建のためにハシナ、ジア両氏を亡命させようと試みたが、2人は出国を拒否、訴追を受けることを選択した。(c)AFP/Shafiq Alam