【6月14日 AFP】大阪で13日から2日間の日程で開催された主要国8か国(G8)財務相会合は14日、共同宣言を採択して閉幕した。G8財務相は、上昇を続ける原油価格が世界の経済成長を危険にさらすと警告し、産油国に増産を求め、また市場価格変動の調査を提唱した。

■原油高

 共同声明では、原油・食料価格の高騰は世界の経済成長安定に深刻な影響を及ぼし、貧困を悪化させ、世界的なインフレを誘発する可能性があると指摘。産油国に対しては、増産と長期的な生産能力を強化するための投資を求めた。

 会合では原油市場における投機的な動きも焦点となり、G8財務相は国際通貨基金(International Monetary FundIMF)に対し、最近の原油価格の高騰について調査を行うよう提唱。原油市場のさらなる透明性と、市場への資金の流れなどのより信頼性の高いデータも必要だと指摘した。
 
 ただし、ヘンリー・ポールソン(Henry Paulson)米財務長官は、原油価格が2003年の水準から5倍も上がったのは投機が原因ではないと主張。同長官は記者会見で「あらゆるデータが、原油高騰の主因は需給ひっ迫であることを示している。現在、世界では分かりやすい短期的な解決が求められているが、すべての原因を投機に求め、必要な措置をとらないのは危険だ。問題を誤って判断したくない」と語った。

■ドル安

 今回の会合には中央銀行総裁は出席しなかったため、共同声明には盛り込まれなかったが、米国でのドル安懸念の高まりを受け、通貨問題も重点的に協議された。

 ポールソン長官は「強いドルが米国の国益」という従来からの米政府の政策を改めて主張し、米国の堅調な経済ファンダメンタルズが長期的にはドルを支えるとの見方を示した。

 一方、市場関係者の間では最近の米政府は、インフレを抑制し、経済成長の阻害要因となりうる金利引き上げを回避するため、ドル高に誘導するための「口先介入」を徐々に強化しているとの見方が広がっている。

■食糧問題

 食糧問題については、新興国と開発途上国の成長で、食糧需要は引き続き高い水準で推移するとの見解を示し、貧困国への緊急支援と食糧供給の改善を呼び掛け、また輸出規制と食糧補助金の撤廃を求めた。

■政府系ファンド

 政府系ファンドについては、その利点を認識したが、政府系ファンドの資金力が高まるにつれ論争を引き起こしていることを受け、政府系ファンドに、IMFとの協力のもと透明性を向上させるよう求めた。(c)AFP/Daniel Rook and Sunil Jagtiani