【6月12日 AFP】パリ(Paris)で12日、80の国や国際機関が参加するアフガニスタン復興支援国会議が開かれ、ハミド・カルザイ(Hamid Karzai)アフガニスタン大統領は、500億ドル(約5兆4000億円)の援助を支援国に要請した。

 すでに102億ドル(約1兆1000億円)の支援を表明している米国からはローラ・ブッシュ(Laura Bush)米大統領夫人が参加。「国際社会は、アフガニスタンの将来を決定づけるこの機会に背を向けてはならない」と語った。

 フランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は、農業および保健面を中心に支援額を当初予定から倍増させると表明した。具体的な金額には触れなかったが、大統領側近によると2年間で1億700万ユーロ(約180億円)を拠出する見通しだという。

 米軍の攻撃で旧支配勢力タリバン(Taliban)がアフガニスタンから撤退して6年以上が経過したが、依然として人々は貧困に苦しみ、南部ではタリバン武装勢力などが攻勢を強めるなど、アフガニスタンの苦境は続いている。

 現在、アフガニスタンでは、北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)4万7000人と米軍2万人がタリバン掃討作戦を展開している。

 国連(UN)の調べによると、アフガニスタンで多発する襲撃事件などにより2007年だけでも一般市民1500人を含む8000人が死亡している。

 カルザイ大統領は、これまでに道路や医療施設の建設、麻薬栽培の撲滅、政府機能の基盤造りなどで成果が上がっていると報告した。しかし「道のりはまだ遠い」と付け加え、「アフガニスタンは適切かつ予測可能な長期間の支援を必要としている」と訴えた。

 最優先課題としてカルザイ大統領の念頭にあるのは、道路、ダム、発電所などのインフラ建設だ。しかし、政府軍や治安部隊の強化や農業開発も同様に重要課題だ。

 アフガニスタン救援団体調整機関(Agency Coordinating Body for Afghan ReliefACBAR)は3月に発表した報告書のなかで、2001年のタリバン政権崩壊後に国際社会が拠出を表明した支援額250億ドル(約2兆7000億円)のうち、これまでに実際に拠出されたのは150億ドル(約1兆6000億円)に過ぎないと警告した。また支援国が拠出した資金の4割が、コンサルタント料や民間機関が実施する復興プロジェクトの費用などとして支援国に還流しているという。

 一方、米国に拠点を置く国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)」は、援助金の拠出に際し、アフガニスタンにおける人権状況の改善に留意するよう支援国に求めている。同団体によると、アフガニスタンの女性や少女たちは、世界でも最悪な人権環境に置かれ続けていると指摘している。(c)AFP/Carole Landry