【6月9日 AFP】福田康夫(Yasuo Fukuda)首相は9日、政府の温暖化対策に関する指針「福田ビジョン」を発表し、2050年までに国内の温室効果ガス排出量を現状より60-80%削減する方針などを示した。

 ビジョンではこのほか、二酸化炭素排出権の取引市場を試験的に立ち上げる方向性も明らかにされた。また首相は、国際間での交渉で現在課題となっている京都議定書(Kyoto Protocol)後の中期目標を、2009年に策定すると述べた。

 温室効果ガス排出量の削減については、京都議定書が基準とした1990年レベルではなく、現在のレベルが基準にされる。徐々に経済が回復している日本の削減実績は京都議定書で義務づけられた目標に遠く及んでいない。

 目標達成を促進するため、首相は試験的に「キャップ・アンド・トレード(C&T)」制度を導入すると発表した。C&T制度とは企業に温室効果ガスの排出枠(キャップ)を課し、経済的インセンティブを与えて、枠を超える企業と余っている企業で排出権を取引させる制度。排出権取引は、京都議定書の目標達成をほぼ確実にしている欧州では盛んに行われている。(c)AFP