【6月8日 AFP】イランを訪問中のヌーリ・マリキ(Nuri Al-Maliki)イラク首相は8日、テヘラン(Tehran)でイランのマヌチェフル・モッタキ(Manouchehr Mottaki)外相と会談し、米国とイラクが締結を目指す駐留米軍の地位協定に関連し、イラクをイラン攻撃の拠点には利用させないと言明した。

 会談後の会見でマリキ首相は「イラクをイランほか近隣諸国の安全保障を脅かす拠点にはさせない」と述べた。

 ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領とマリキ首相は前年11月の会談で、08年以降の米軍イラク駐留を可能とする地位協定(Status of Forces AgreementSOFA)を今年6月末までに締結することで合意していた。しかし、イラク政府は最近になってこの件については米国と「別の見通し」があると述べている。

 イランの核開発をめぐっては、米国側が核兵器開発目的だとして危機感を示す一方、イラン側はその見解を強く否定。そういった緊張の高まりのなか、イラクと米国との新たな協定について、イランは懸念を表明していた。

 米国は、イランの核関連施設に対する攻撃の可能性を今まで一度も否定したことがない。またイスラエルも、軍事行動以外の選択肢はないと警告をしている。

 国営イラン通信(IRNA)によるとマリキ首相は「イラクの安定と治安回復は、近隣地域に対して非常に大きな影響を及ぼす。われわれが望んでいるのは、イラク、イラン両国に平和と安全が実現することだ」と述べた。

 首相はイランのパルビズ・ダバーディ(Parviz Davoudi)第1副大統領とも会談。IRNAによると、2人は両国の関係拡大に合意し、「両国への敵国の謀略を非難する」と表明した。

 マリキ首相は8日夜には、マフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領と会談する。(c)AFP