【6月8日 AFP】(一部更新、写真追加)米大統領選の民主党候補指名争いで敗れたヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員は7日、正式に撤退を表明し、米国史上初の女性大統領を目指した歴史的な選挙戦に別れを告げた。同時に、候補指名を確実にしたバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員を「気品、そして気骨のある人物」とたたえ、今後同議員を全面的に支持することを表明した。

 一時は勝利が確実視されていたクリントン氏は、ワシントンD.C.(Washington D.C.)のナショナル・ビルディング博物館(National Building Museum)で行われた集会で、夫のビル・クリントン(Bill Clinton)前大統領と娘のチェルシー(Chelsea Clinton)さんが見守る中、2000人の熱狂的な支持者を前に撤退演説を行った。

 クリントン氏は、「今日、わたしは選挙運動を中止する。オバマ氏の勝利と、そしてこれまでのすばらしい戦いぶりに敬意を表したい」と述べ、オバマ氏を「全面的に支持する」とした。

 さらに、「女性を50人宇宙に打ち上げることができるなら、いつの日かホワイトハウスに女性を送り込むこともできる。もっとも高くてもっとも頑丈なガラスの天井を今回打ち破ることはできなかったが、あなたたちのおかげで、1800万のひびを入れることはできた」と語り、票を投じた支持者に感謝すると、観客は大喝采に包まれ、中には涙をぬぐう支持者もいた。

 クリントン氏はこの集会で、新たに民主党の団結を呼びかけた。選挙戦は民主党を二分したが、5日夜にはオバマ氏と秘密の会合を開き、副大統領候補になる可能性も取りざたされていた。

 クリントン氏は、この演説で長い挑戦の最後を飾った。アイオワ(Iowa)の雪、ネバダ(Nevada)の暑さ、ペンシルベニア(Pennsylvania)のほこり、ハリウッド(Hollywood)のしゃれた資金調達パーティーなどを経て、クリントン氏は2つの冬を越した選挙戦を17か月にわたり戦い抜いた。(c)AFP/Stephen Collinson