【6月5日 AFP】米大統領選で、民主党候補指名を確実にしたバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員と、共和党候補に確定しているジョン・マケイン(John McCain)上院議員。主な政策上の相違点は以下の通り。

■イラク

 オバマ氏:イラク戦争には反対の立場で、戦争終結と米軍の即時撤退を公約。イラク国内での米軍の恒久基地創設にも反対。一方で、多数の生命が危険にさらされたりジェノサイドが発生した場合はイラクへの再派兵もありうると語る。

 マケイン氏:「われわれは降参しない」と断言するなど、イラク戦争での勝利を確信。2007年の増派を強く支持。米軍はイラクに100年間駐留すべきだと提案し、民主党から批判のやり玉に挙げられる。

■イラン

 オバマ氏:イランは中東地域と米国にとって深刻な脅威だとしながらも、対話を重視。イランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領と無条件の首脳級対話に言及していたが、最近は実務者間レベルの対話から始めることを示唆。核開発問題では、国際社会による制裁に賛成の立場。

 マケイン氏:イランとの首脳級対話は、イラン政府内の強硬派に正当性を与えるだけだとして反対の立場をとる。必要ならば、国連(UN)の枠外での制裁、主に経済制裁を強化する意向を示している。

■中東、イスラエル

 オバマ氏:米国がイスラエルを支援することは「疑う余地のないもの」と語る。イスラム原理主義組織のハマス(Hamas)やヒズボラ(Hezbollah)がテロ行為を放棄しイスラエルの存在を認めない限り、交渉の余地はないとの立場。パレスチナ自治区へのユダヤ人入植を和平交渉を阻害するとして批判する一方、穏健派パレスチナ人の影響力の向上を目指した政策を支持。

 マケイン氏:ハマスは「最悪の敵」だと語り、米国のイスラエルヘの軍事支援を支持。イスラエル-パレスチナ両政府の和平交渉にも賛成の立場。ハマスやヒズボラ、シリアの政治的な孤立化を求めている。06年のイスラエルによるレバノン侵攻を正当化。

■経済

 オバマ氏:労働者階級や低所得者層世帯への減税、高所得者層世帯への増税を公約。サブプライム問題に関しては、住宅差し押さえ回避を支援する基金の設立や連邦政府による貸し付け支援策を提唱。

 マケイン氏:ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領が進める減税政策を継続する意向を示す。財政赤字対策を厳しく実行するとして、議会が得意とする「予算のばらまき」を止めると明言。さらに軍事費を除く1年間の連邦予算の執行停止を提唱。サブプライム問題に関しては、住宅ローンや学資ローンに政府保証を与えることを提案。

■医療保険制度

 オバマ氏:国民皆保険制度を目指す。インセンティブとコスト削減を基本にするオバマ氏の基本構想では、保険加入は任意ではあるものの、親が自分の子どもを加入させる義務を負うという。

 マケイン氏:保険への加入増加を目指す(米国人の約4500万人が未加入)。利用者からの不当利益計上を防ぐため、保険会社や医薬品会社への監督強化を提案。

■移民問題

 オバマ氏:移民当局の改革をすすめ、ある一定の条件下で1200万人の不法移民を合法化するとしながらも、国境管理を強化する方針。

 マケイン氏:06年の不法移民の合法化を目指した法案を強く支持した。一方で、何らかの制度改革が成されるまでは、確実な国境管理の必要性を指摘。

■国際貿易

 オバマ氏:米国、カナダ、メキシコで構成する北米自由貿易協定(NAFTA)を強く反対しており、再交渉に言及。

 マケイン氏:NAFTAには賛成の立場で、自由貿易を米外交政策(特に中東地域)における重要な要素だと考えている。オバマ氏とは異なり、コロンビアとの貿易協定締結に前向き。(c)AFP