【6月2日 AFP】米大統領選の民主党候補指名を争うヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員は1日、カリブ海の米自治領プエルトリコ(Puerto Rico)の予備選挙での圧勝を受け、特別代議員らに「勝てる候補は自分だ」と訴えた。

 米テレビ各局の報道によると、プエルトリコの予備選は開票率85%の段階で、得票率が68%対32%でクリントン氏がバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員に大差をつけて勝利した。

 ただ、残る予備選は3日にモンタナ(Montana)とサウスダコタ(South Dakota)の2州のみで、オバマ氏の指名獲得がほぼ決定的な状況だ。

 こうした状況のなか、クリントン氏の勝利演説は米市民権を有しながら大統領選での投票権をもたないプエルトリコ市民への謝意よりも、指名獲得の鍵を握る特別代議員への訴えに重点が置かれた。

「一般票の獲得数ではわたしがリードしている。彼(オバマ氏)は代議員数でリードを守るだろうが、次の点を考慮してほしい。この歴史的な予備選において民意を最も代表しうる候補はどちらなのか。11月の本選で民主党を勝利に導ける候補はどちらなのか。そして、米国が内外において前例のない危機に直面した際、大統領としてわが国を正しい方向に導ける候補はどちらなのか」「わたしは自分こそがその候補だと信じ、そうした大統領になるために、予備選を戦っているのだ」(クリントン氏)

 一方、オバマ氏はニューヨーク(New York)で、クリントン氏を「卓越したパブリック・サーバント(公僕)だ」と称し、「11月の本選における民主党の『貴重な資産』となるだろう」と述べて、ライバル候補の勝利を称えた。また、「彼女とわたしの間に相違点があるとしても、対立陣営(共和党)との違いと比較すれば、ささいなものにすぎない」と含みをもたせた。

 米CNNテレビの出口調査によると、クリントン氏を支持したプエルトリコ市民の72%は民主党指名候補がオバマ氏に決まれば不満に思うと回答しており、各調査で指摘されているように民主党内部分裂の危機がみてとれる。

 民主党の党規委員会は5月31日、党規を無視して予備選を1月に前倒しして実施し、クリントン氏が勝利しながらも選挙結果が無効とされたミシガン(Michigan)とフロリダ(Florida)両州の代議員について、両氏の獲得代議員数の半数を復活させると決定した。

 これにより、指名獲得に必要な過半数の代議員数は2118人となり、クリントン氏は両州でオバマ氏より24人多く代議員を獲得した。しかしオバマ氏のほうも、指名獲得に必要な代議員過半数まで66人と迫っているうえ、プエルトリコやモンタナ、サウスダコタ各州の総代議員数枠86人のうち約半数を獲得するとみられており、同氏の優位はゆるがない。

 一方、自由意志で投票する特別代議員のうち約200人は、支持候補をまだ明らかにしていない。(c)AFP