【5月30日 AFP】(一部更新)横浜市内で52か国が参加し開かれていた第4回アフリカ開発会議「TICAD IVTokyo International Conference on African Development)」は30日、食糧価格高騰に特別な注意を払い、会議の成果を主要8か国(G8)首脳会議につなげていくとした「横浜宣言」を採択し、3日間の日程を終えた。

 穀物価格の高騰をめぐっては世界各地で暴動が多発する事態となっており、世界銀行(World Bank)は29日、最貧国を対象とした12億ドル(約1265億円)規模の緊急融資を発表している。

 福田康夫(Yasuo Fukuda)首相は会議閉幕後の共同記者会見で、短期、中期、長期的な食糧問題対策が国際社会の急務だと強調した。

 アフリカ連合(AU)議長を務めるタンザニアのジャカヤ・ムリショ・キクウェテ(Jakaya Mrisho Kikwete)大統領は、食糧危機などのアフリカが直面する問題が、7月に北海道洞爺湖で開催されるG8(主要8か国)首脳会議で取り上げられることへの期待を示した。

 共同宣言には、福田首相が開会演説で表明したアフリカの米生産量を10年間で倍増させることに向けた日本の支援強化も盛り込まれた。また、農民向けの小規模融資の必要性を強調したほか、大陸内のかんがい地域を5年間で20%拡大するため開発事業を行うとした。さらに民間セクターによる役割を強調し、日本政府は民間企業によるアフリカ投資を5年間で倍増させる考えを表明した。

 一方、福田首相は中国などの反対により実現が困難となっている日本の国連安保理(UNSC)常任理事国入りについて、改めてアフリカ諸国の支援を求めた。

 アフリカ諸国はまた、ポスト京都議定書(Kyoto Protocol)の枠組み交渉が難航するなか、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減で協力することを明言した。

 近年、中国が政治・経済両面でアフリカとの連携を強める中、福田首相は、TICAD開催中に参加国の首脳と積極的に会談した。TICADで日本が表明したアフリカ支援は中国の動きを意識したものかとの質問に、福田首相はTICADが始まったのは冷戦終結間もない15年前で、当時は中国と資源確保をめぐって競争になるとは予測できなかったとして否定した。その上で福田首相はアフリカの政治・経済両面の重要性を指摘し、長期的な関係を構築していきたいとの考えを示した。(c)AFP/Shaun Tandon