【5月28日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相は29日、首相就任後初の本格的な外遊としてフランスを訪問する。プーチン首相は後継者のドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領の背後で、今後もロシアの外交政策に影響力を発揮していくとみられる。

 プーチン首相は29日、フランソワ・フィヨン(Francois Fillon)仏首相との会談後、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領主催の夕食会に出席する。夕食会への招待は、各国首脳にとってめったにない名誉であり、プーチン首相の影響力の大きさを示しているものだ。

 プーチン首相の報道官は、同首相の初の本格的な外遊先にフランスが選ばれたのは、同国が7月1日から欧州連合(EU)議長国を務めるからだと語った。プーチン首相は前週、隣国ベラルーシを訪問している。

 また、これと合わせるかのように、EUが26日、2年間にわたって悪化していたロシアとの関係修復のため、新たな協力協定に関してロシア政府と交渉を開始することを承認している。この交渉は、フランスが議長国に就任する直前の6月に、メドベージェフ大統領の主催の下、シベリアのKhanty-Mansiiskで開始される。

 だが、プーチン首相の今回の訪仏は、プーチン首相が外交政策における権限をメドベージェフ大統領に渡すつもりがないことを示唆しているとの見方が強い。

 モスクワ(Moscow)にあるシンクタンクMerkatorの政治アナリスト、Dmitry Oreshkin氏は「首相が外国を公式訪問するのは、伝統的なロシア政治では珍しいことだ。プーチン首相の現在の地位は、ロシア史上、きわめて異例なものだ」と指摘する。

 最近モスクワを訪れたEU高官は「公式にはメドベージェフ大統領の方が権力を有しているが、西側諸国では、依然としてプーチン首相がロシアにおける中心人物だと考えられている」と語った。(c)AFP/Delphine Thouvenot