どっちがロシア大統領? 復活する席順からのクレムリン観測
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【5月21日 AFP】ロシアを治めているのは、ドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領か、それともウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相か? 答えは、席順を見ればわかる。
不透明さを増すロシアの政治体制を理解するうえで、観測筋は冗談にも思えるこうした旧ソ連的な「順番当てゲーム」に、大まじめに頼らざるを得ない状況だ。
■初会談で変わらなかった席順
旧ソ連時代、「クレムリノロジスト」と呼ばれるアナリストらは、情報が極めて乏しいなかにあって、赤の広場でのパレードの政治局メンバーの顔ぶれや、共産党機関紙「プラウダ(Pravda)」を手がかりに、局内で誰が昇進し誰が降格されたかを判断したものだ。そして、ロシアトップの2人のうちどちらが国を動かしているのか、混乱が生じている今日、かつての「クレムリノロジスト」たちの出番となった。
前週、その判定材料を目にしたクレムリノロジストたちは息をのんだ。国営テレビで放映されたクレムリンでの2人の初会談。その席順は、プーチン首相が大統領時代に閣僚たちを叱りつけていた時と同じだった。プーチン首相が左側の席に、メドベージェフ大統領は右側に座ったのだ。
これは、実権を握っているのがプーチン首相で、メドベージェフ大統領はお飾りにすぎないことを意味しているのだろうか?
■礼拝から戦勝記念日パレードまで、すべて分析材料
カーネギー国際平和財団モスクワ・センター(Carnegie Moscow Centre)のアナリスト、マーシャ・リプマン(Masha Lipman)氏は「誰もが気付いていることだ」と答える。「それよりも前に、2人の大統領が夫人同伴でイースターの礼拝に出席したときも、政治マニアは注意深く観察していた。誰がいて誰がいなくて、今までと違う点はないか、と」
ロシアの大統領がどうやって選ばれるのかを、どうにか理解しようとするなかで「メドベージェフ氏の背が、背の低いプーチン氏よりもさらに少しだけ低いから」という理屈を持ち出す者もいる。頭の毛の薄い人物とふさふさの人物が交代で就任する、との説もある。
そして戦勝記念日(Victory Day)パレードが行われた9日、ちまたが騒いだのは、赤の広場に並んだ核ミサイルでも戦車でもなく、国営テレビが切り取った「閲兵するプーチンとメドベージェフ」の構図だった。
英エコノミスト(Economist)誌は「マルクス、エンゲルス、レーニンの古い3連の祭壇画を見るようだった。まさに父と子、創設者とその追随者、偉大なるリーダーとその弟子だった」と評した。
■プーチン氏のしぐさにはすべて意味がある?
お茶の葉を見て運を占うのにも似たこうした憶測は、完全に自由なメディアや透明な選挙というものが存在しないがためだ。政府内で何が起きているかを理解するための常套手段はないと、アナリストらは言う。
米保守系シンクタンク「ヘリテージ財団(Heritage Foundation)」モスクワ支部のあるアナリストYevgeny Volk氏は、プーチン首相のどんなに些細なボディーランゲージにも、席順にも、必ず意味があると言う。
一方で、先のリプマン氏は、あまりに些細な行動に深い意味を付与することには疑問符を付ける。「プーチン氏は、自分に取り入ろうとする人間たちをからかうことに特別な喜びを見いだしているのでは。2人とも単にわたしたちをからかっているだけじゃないかとさえ思う」(c)AFP/Sebastian Smith
不透明さを増すロシアの政治体制を理解するうえで、観測筋は冗談にも思えるこうした旧ソ連的な「順番当てゲーム」に、大まじめに頼らざるを得ない状況だ。
■初会談で変わらなかった席順
旧ソ連時代、「クレムリノロジスト」と呼ばれるアナリストらは、情報が極めて乏しいなかにあって、赤の広場でのパレードの政治局メンバーの顔ぶれや、共産党機関紙「プラウダ(Pravda)」を手がかりに、局内で誰が昇進し誰が降格されたかを判断したものだ。そして、ロシアトップの2人のうちどちらが国を動かしているのか、混乱が生じている今日、かつての「クレムリノロジスト」たちの出番となった。
前週、その判定材料を目にしたクレムリノロジストたちは息をのんだ。国営テレビで放映されたクレムリンでの2人の初会談。その席順は、プーチン首相が大統領時代に閣僚たちを叱りつけていた時と同じだった。プーチン首相が左側の席に、メドベージェフ大統領は右側に座ったのだ。
これは、実権を握っているのがプーチン首相で、メドベージェフ大統領はお飾りにすぎないことを意味しているのだろうか?
■礼拝から戦勝記念日パレードまで、すべて分析材料
カーネギー国際平和財団モスクワ・センター(Carnegie Moscow Centre)のアナリスト、マーシャ・リプマン(Masha Lipman)氏は「誰もが気付いていることだ」と答える。「それよりも前に、2人の大統領が夫人同伴でイースターの礼拝に出席したときも、政治マニアは注意深く観察していた。誰がいて誰がいなくて、今までと違う点はないか、と」
ロシアの大統領がどうやって選ばれるのかを、どうにか理解しようとするなかで「メドベージェフ氏の背が、背の低いプーチン氏よりもさらに少しだけ低いから」という理屈を持ち出す者もいる。頭の毛の薄い人物とふさふさの人物が交代で就任する、との説もある。
そして戦勝記念日(Victory Day)パレードが行われた9日、ちまたが騒いだのは、赤の広場に並んだ核ミサイルでも戦車でもなく、国営テレビが切り取った「閲兵するプーチンとメドベージェフ」の構図だった。
英エコノミスト(Economist)誌は「マルクス、エンゲルス、レーニンの古い3連の祭壇画を見るようだった。まさに父と子、創設者とその追随者、偉大なるリーダーとその弟子だった」と評した。
■プーチン氏のしぐさにはすべて意味がある?
お茶の葉を見て運を占うのにも似たこうした憶測は、完全に自由なメディアや透明な選挙というものが存在しないがためだ。政府内で何が起きているかを理解するための常套手段はないと、アナリストらは言う。
米保守系シンクタンク「ヘリテージ財団(Heritage Foundation)」モスクワ支部のあるアナリストYevgeny Volk氏は、プーチン首相のどんなに些細なボディーランゲージにも、席順にも、必ず意味があると言う。
一方で、先のリプマン氏は、あまりに些細な行動に深い意味を付与することには疑問符を付ける。「プーチン氏は、自分に取り入ろうとする人間たちをからかうことに特別な喜びを見いだしているのでは。2人とも単にわたしたちをからかっているだけじゃないかとさえ思う」(c)AFP/Sebastian Smith