【5月17日 AFP】親欧米のグルジア政府とロシア政府の対立が高まるなか、ロシア当局は16日、ロシア南部で治安悪化を図ったとして「グルジアのスパイ」を拘束したと発表した。グルジア政府は直後に「ばからしい」と述べロシア側の発表を否定した。

 ロシアの複数の通信社は連邦保安庁関係者の話として、拘束されたのはロシア南部チェチェン(Chechyna)地方に住む34歳の男で、反政府グループや治安部隊のメンバーを勧誘していたとしている。インタファクス(Interfax)通信によると拘束された男性はグルジア出身でロシアの市民権を獲得しており、今回の拘束で「グルジア情報機関が北コーカサスでのテロ活動に関与していることが確実となった」(保安庁関係者)という。

 ロシアの支持を受けグルジアからの分離独立を求めるアブハジア(Abkhazia)自治共和国をめぐり、グルジアとロシアの緊張関係は著しく高まっている。

 インタファクス通信によると拘束された男性は、グルジア情報機関がロシア領内の非合法武装グループを資金援助し「武装蜂起を組織する」目的で、「情報機関と武装グループメンバーの接触を設定する」役割だったという。

 また男性はグルジアとロシアの国境にあるパンキシ(Pankisi)渓谷とも関係があるとしている。ロシア政府はパンキシ渓谷が反政府勢力の拠点になっていると主張している。(c)AFP/Nick Coleman