【5月3日 AFP】(一部更新)1日投票が行われた英ロンドン(London)市長選で3日、保守党下院議員のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)候補(43)が勝利した。ジョンソン氏は、機知に富んだ発言と時にこっけいな失言が有権者の心をつかみ当選を果たしたが、世界有数の大都市の指導者としての能力が今後問われることになる。

 ぼさぼさ気味の金髪頭、作家P・G・ウッドハウス(P.G. Wodehouse)の作品に登場する上流階級の愚かな男性Bertie Wooster を連想させる言い回し、そしてトークショーへの多数の出演など、ロンドン市民にとってジョンソン氏はおなじみの顔だった。

 とはいえ度重なる重大な失言をしたことや政治の第一線での経験が比較的少ないことから、ジョンソン氏がロンドン市政と2012年ロンドン五輪の準備でリーダーシップを発揮できるかを疑問視する向きもいる。

 自由民主党(Liberal Democrats)から出馬し落選したブライアン・パディック(Brian Paddick)氏はその選挙戦で、「ロンドン市長には、道化師ではなく大使としての資質が求められる」と主張している。

 ファーストネームの「ボリス」と呼ばれ英国人に親しまれるジョンソン氏は政治の表舞台で活躍すべく輝かしい学歴を持つ。名門中の名門イートン校(Eton College)からオックスフォード大学(Oxford University)に進み、ギリシャ語やラテン語の古典を学んだ。

 右派系Spectator誌の在籍時には編集にたずさわるなか、教育の重視について保守党の代弁者としての発言が物議を醸し、謝罪を繰り返すこともあった。

 また、2006年には10年にわたる保守党内での内紛を、パプアニューギニアの「食人と族長暗殺」に例えたことが問題視され、同国からの反発を招いた。ジョンソン氏は、「世界謝罪の旅の行き先にパプアニューギニアを加える」と約束した。

 オックスフォード大学時代から保守党のデビッド・キャメロン(David Cameron)党首を親友に持ち、品行の悪さで知られる上流社会の酒の愛好会Bullingdon Clubの一員でもあるジョンソン氏は、接戦となった選挙戦で支持を大きく拡大した。

 選挙戦では「ドーナツ戦略」として、ロンドン中心部の問題がクローズアップされた前回選挙で無視されたとの感情を抱く郊外の住民に的を絞って支持を訴えたことが功を奏した。(c)AFP/Phil Hazlewood