【4月30日 AFP】米有力シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所(Peterson Institute for International Economics)は30日、北朝鮮が10年ぶりに深刻な飢饉(ききん)に陥る可能性があるとの報告書を発表した。

 報告書をまとめたピーターソン国際経済研究所のマーカス ・ノランド(Marcus Noland)上級研究員は、北朝鮮が「10年前の飢餓終息以来最も危険な状況にある」と指摘する。

 報告書によると、北朝鮮の食糧価格は前年、3倍近く高騰した。行政の機能不全と、内政での抑圧の増加を示す事例報告が挙がっている。

 ノランド研究員と共同研究者のカリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San DiegoUCSD)のステファン・ハガード(Stephan Haggard)氏は、北朝鮮政府が「抑圧を強め、遅まきながら外国に緊急支援を求めることで」この危機を政治的に乗り切ると予測している。

 両氏はまた、「食糧支援に大きく依存しているにも関わらず北朝鮮政府は無謀にも支援国との関係を悪化させている」と指摘、一方で、国際社会の積極的な取り組みがなければ、この危機の犠牲になるのは責任のある人々ではなく罪の無い人々だとし、北朝鮮の食糧危機が困難な倫理的選択を提起していると強調した。

 研究所の推定では、1990年代半ばから後半に北朝鮮を襲った飢饉による餓死者は、人口の約5%に相当する最大100万人だった。

 国連(UN)世界食糧計画(World Food ProgrammeWFP)もまた、急速に悪化する食糧不足により、人道的悲劇を回避するための時間切れが迫っていると警告している。(c)AFP